第26回
福島は今日も雨だった

 6/15。JRAの新馬券である「馬単」と「3連複」の発売が福島競馬場&WINS新白河で発売される。それに伴い、わが裏金産業も「ギャンブルの森羅万象を追求する」企業(!?)として、参加するのだ。

 14日(金)。この日は客のアポで午後から品川。んでそのままウチの会社の神田営業所へ。「神田営業所」と言うのは名ばかりで、実はこれ、秋葉原にある。秋葉原駅昭和通り口から徒歩30秒。両隣のビルが個室ビデオという、立地的にとんでもないところである。

 今回のツアー、我らがさんぎょーが参加する。さんぎょーはバリバリの関西人な上、関東にまったく縁の無い生活をしていたため、人生で関東に来るのが2回目という、かなりの関東初心者である。そんな彼がこのツアーを前に前日入り。迎えに行く予定が、この日の神田営業所勤務に伴い、さんぎょーの秋葉原入りとなった。

 渋滞があったようで、予定より約1時間遅れてさんぎょーが秋葉原に到着。お疲れのご様子であるが、彼に「疲れ」という言葉が似合わないのは誰もが承知の話である。この日も6時間のバス旅行にもかかわらず、会うなり喋る喋る。トピックスとして、足柄SAにてワールドカップのロシアチームに出会った、というのがあった。14日は静岡スタジアムでロシア=ベルギー戦があったのだが、それの帰りではないかと彼は言う。まあ時間的に有りうる話なのだが、思いつきで喋ることの多い彼のこと、イマイチ信憑性に欠ける。と、携帯で写真を撮ったというのだ。ほー、これは大きな証拠や。どれどれ…と見るとこんな感じの写真。

 絵があまりにもヘタで申し訳ないが、要はうしろ姿なのである。パッと見て、ロシア人であるかどうかすら怪しい。やはりさんぎょーはさんぎょーであった。本人曰く、「前に回り込みづらかった」だそうだ。ほなしゃーない。

 とりあえず、横浜へ戻る。腹が減ったのでラーメン屋に行く。ここでも彼の奇行ぶりは如何なく発揮。テーブルに置いてあった調味料を全種類入れてしまった。頼んだラーメンは「珍菜メン」という名のキムチラーメンだったが、もはや原型はとどめていない。スープはキムチの色か、赤いのだが、味は複雑そうである。一口もらったが、ザーサイの味しかせえへんかった。

 家に着く。ここで寝る間を惜しんで競馬クイズをやってしまうのが学生時代からの悪いクセである。お題は「GII、GIIIを勝っておらず、GIのみを勝っているGI2勝以上している馬」と「万馬券3回以上出した馬(GI馬ぐらいの有名な馬は除く)」であったが、これを調べているうちに気づいたら2時半。早よ寝えへんと!

 翌15日(土)。朝から(というより夜明け前から)横浜は激しい雷雨。窓を開けて寝ていたのだが、おかげで雨が入り込んでしまった。しかも、さんぎょーはそれを知っていたにもかかわらず「まあええわ」と思って二度寝したらしい。実に彼らしい選択だが、窓閉めるぐらいすぐにできるやん。雷雨のあまりの激しさに二人とも4時半に目が覚める。仕方がないので起きる。寝坊するよりマシやから。

 5時に横浜を出る。外は大雨。夜は明けてはいるが、視界が狭い。その上、さんぎょーはやたらとちょっかいを出してくる。困ったもんや。しかし、この雨のせいか、道路は非常に空いている。6時前には首都高速を抜け、東北自動車道に入る。栃木インターでマックさんを拾う予定であり、東北自動車道の入り口(川口)で連絡をする予定であった。が、しかし!首都高速の最後の方に「東川口インター」があり、そこでさんぎょーと一盛り上がりしてしまった。要約すると「川口ゆうたら東より西やろ!東川口って何があんねん!」といったものである。が、そんな話で盛り上がったがために、どこで東北自動車道に入ったか(つまりどこで川口を過ぎたか)がわからなかった。「何でやねん!料金所があるやろ」とツッコミを入れられそうだが、料金所は川口ではなかったのだ!それもこれも、川口というだけで盛り上がっていた私とさんぎょーが悪いねんな。

 ちょっと遅れて蓮田SA(埼玉)でマックさんに電話。蓮田では新聞がなかったのでついでにマックさんに頼む。スポニチと日刊ぐらいはどのSAにも置いておいてほしいものだ。ここから1時間は2人での東北自動車道。しかし、さんぎょーのうるさいこと。何でこんなに喋るんやろか。まあネタが豊富なのはいいことだ。しかし運転中にはツラい…。

 7時前に栃木インターへ。マックさんを拾う。ここからは3人で行くことになるので、少しは私の負担も軽くなるやろ…と思った自分が甘かった!高速で120km出さんと怒るわ、出して一生懸命走ってる横で「この記事見てみい」と新聞は見せようとするわ…。新聞関連の話が終わった思うたら再び競馬クイズでマックさんを巻き込む。栃木から福島西までおよそ1時間半だったが、まあ途切れることなく喋る喋る。さすがのマックさんもこれにはあきれ果てる始末。免疫の無い新1回生が心配である。

 福島西インターに到着。時刻は9時。ここまで4時間。4時間もさんぎょーの話に付き合うとったんか…。そらしんどいわ。マックさんもさぞお疲れでしょう。福島西インターから福島競馬場まではそんなに距離は無いはずだが、道がようわからん。しかし、同じこと考えている人は多いらしく、料金所に「福島競馬場へは…」との看板が。さすがは新馬券導入だけあってJRAも考えているようである。感心感心。そんなに難しい道ではなかったが。国道に入ってからは土曜の朝だと言うのに(土曜の朝だからか?)車が多い!みんな競馬場に向かうのか、と疑心暗鬼になってしまうぐらいだ。例えそうであったとしても我々の目的地が福島競馬場である以上、他人と関係なく競馬場には行くのだが。

 途中、飲み物等を仕入れるためにコンビニに寄ろうとしたが、案外コンビニが見当たらない。探している最中、1件の食堂が。そこには「お好み焼き、ジンギスカン、焼魚」との文字が!恐るべし、福島!いったい何屋かようわからんが、何でも喰わせてくれそうやな。和洋折衷、ではないか。日本全国津々浦々、か。実に多様である。福祉で全国のものが食えるとは。なかなかやるな。

 途中のコンビニで食料&飲料を調達。この時点で9時半なので1レースには間に合わず。全てのレースをやりたいわけではないので私はそれでも構わなかったが、マックさんは一足先に競馬場入りしているDDさんに早速の3連複を頼んでいるようだ。私はここで目薬を買いたかったが医薬品はさすがのコンビニでも置いていないようだ。代わりに「目もとひんやりシート」を買う(結局使っていない)。しかしここのコンビニ、帽子を売っているコーナーがあり、文房具とほぼ同等のスペースを割いている。そんなに福島ではコンビニで帽子が売れるのだろうか。謎である。

 競馬場のまわりは満車の看板がいっぱい。JRA経営の立体駐車場もすでに満車。仕方がないので民間の駐車場に停める。しかし、国道沿いの一等地で土日だけの駐車場経営とは勿体ない。商売になっているのだろうか。まあ土日は埋まるのだからそれで元は取れるのだろうが。1台2000円やったし。

 競馬場入り。私は阪神に行ったことが無いので、京都、東京、中山とで4場目である。DDさんは10場制覇だそうで。おめでとうございます。暖かい拍手が贈られます。先に到着しているDDさんと落ち合う。昨晩の夜行バスで当日朝に福島入りで、翌日は10時から仕事だそうだ。そらムチャってもんですぜ。私だったら参加してません。絶対に!

 先のマックさんの頼まれ馬券は1着2着4着だったそうだ。実に惜しい。なかなか3連複も手強そうや。ここは、1発目にドカンとデカイのを当てて少なかったボーナスを増やさなければ!と意気込んだ福島2R。人気は岡部のタイキサンバ。カポウティ産駒でダート1700m。母はダンスダンスダンス。良血かどうかは置いといて人気サイドやし、買っておこうか。もう1頭が田中勝のゴールデンデザート。マヤノトップガン産駒。なんか地方競馬を見ているようだ。この2頭を絡めてまずは手堅く…しかし!1番人気のダンス×3が直線で失速。田中勝が勝ち、ザグレブ産駒の谷中が2着、そして最内の江田照が3着でアッサリ3連複41860円。のっけから出てしまった。思えばワイドの初万馬券はタヤスブルームやったなぁ。今回は自分とはまるで関係の無い馬やし、増してや谷中でザグレブ。買う要素ゼロ。しゃーない。

 3R。2着を3回繰り返していた江田照のケンゴウザンが1番人気。これは逆らえない。で、ダート替わり、初芝のブラックタイアフェアー産駒の岡部シルクキングダム、池田、小林淳、二本柳でボックス。そして見事的中!江田照と池田(4人気)、小林淳(7人気)で5320円。大井で会得した「人気、人気、人気薄」の組み合わせが今日も炸裂!やはり、人気サイドを2頭絡めるのがいいらしいというのは体験談である。

 4R。新馬戦。あんまりやりたくないのであんまり買わず。と、1番人気の梶が飛び、村田(6人気)、二本柳(5人気)、吉田(2人気)で8460円。新馬はこれだからようわからん。梶はマイネルやったし、逆らえないと思ったが、やはり新馬は水もの。私のスキャン&スリルショーボックスは全くダメ。「アスワン産駒だから」と言ってゴーワンが橋本美で万馬券を取ったのを思い出す。ちなみにこのレース、馬単は17260円で初万馬券だった。

 5R。障害戦。函館5Rに私の馬が出るので福島5Rは回避。その間に昼飯を買いに行く。この日は「みちのく駅弁フェアー」をやっているようで、それを所望する。現地に行くと欲しかった岩手の三陸ウニめしはすでに売り切れ。どうやら1番人気だったらしい。しょうがないので帆立釜めし(青森)にする。帰り際、新馬券についてのアンケートに答える。アンケート用紙を持っていたお姉さんがなかなか可愛らしかったが、喋っていたのは当然福島弁だった。

 弁当を持って席に戻る途中、レースは終盤。1番人気の菊池憲のトーアカッカザンがずるずる後退していき、代わって2番人気のマイネルコンバット(三浦)が浮上。菊池は最後の直線で盛り返し3着を確保。配当的には大したことは無さそうだが、どうやらこれで三浦は100勝のようである。やれめでたい。ウィナーズサークルには黒山の人だかり(およそ30人…)。そして事件は起こった!三浦がレースで付けていたゴーグルをお客さんにプレゼントした。2つあるらしく、1つは一番近くにいた人に手渡し。そしてもう1つが放たれた。するするーーーっと私の元へ!これはいただき!と手を伸ばすが、何とファンブル!痛い、痛恨のエラーである。今春、ロッテ戦を見に行ってバッティング練習中に来たホームランボールをファンブルして以来、2度目である。あー元野球部の名が泣くわ!また取り逃した…、と思いきや、ファンブルしたゴーグルを誰も取りに行かない!こうして、私は三浦のゴーグルを手に入れたのだが、何だか釈然とせん。スプリングマンが武のムチを入手した時とはエライ違いやな。三浦の200勝はおそらく無いので、キリのいいこんな勝利はおそらく最後であろう。ここでゴーグルを入手できるのはこれで最後、いやー、いい土産になったわ。ありがとう、三浦!

 函館5R。函館はいつから5Rが午後になったのだろうか。サイレンスブランドが私の1番馬だ。ダントツの1番人気!しかし、直線伸びず3着。上村と田面木で20200円(函館なので馬連のみの発売)。はー、午前中の3連複の稼ぎがこれでパー。時間が無いので6Rは回避!

 7R。1番人気のミストラルシチー(吉田)から。休み明けで3着2着と好走。ここは買い。「発馬決まると」とのコメントのジョウノベイビー(亀山)と、吉永、石神、坂井で3連複勝負。しかし、吉田が飛び、亀山(6人気)、井西(13人気)、石神(2人気)で3連複38820円。馬連で27960円、連単で46550円。全て万馬券。もうやだ。また吉田豊と仲が悪くなりそうや。

 8R。1番人気のヤネが小林淳と頼りないが、馬はデビューから掲示板を外しておらず、ここは買い。人気どころの五十嵐、蛯名を押さえ、逃げられる田中勝と追って味のある二本柳とで。しかし、枠に入らないスタークリスタル(大西)が除外で混沌とする馬場。人気薄やし、とりあえず走ってほしかったわ。で、結果はセイウンタカコ(二本柳、7人気)が快勝、狙ったヤマニントライバル(田中勝、9人気)がキッチリ2着。で、人気の小林淳が3着。3連複13210円を見事ゲット!いやあ、これでこそ福島にわざわざ買いに来た甲斐があったってもんや。しかし、一緒に買ってた五十嵐からの馬単は外れ。田中勝=江田照の馬連も外れ。13000円ではそんなにプラスにはならんわな。

 9R、田舎館特別。人気薄だが、福島1200m特別勝ちの実績があるタイニーナイトラブ(土谷)を大抜擢。1番人気の江田照が来なければすべて万の馬単総流し。さあレーススタート!がゲート開いた直後に土谷が落馬。開始5秒でレース終了。開始直後に落馬したのは仲田以来。このまま嫌いにならなければ良いが…。数少ない静岡出身の騎手だけに、頑張ってほしい。

 10R、横手特別。ここの1番人気はさんぎょーの馬、パシオンノーブル(蛯名)。降級戦やし、抜群の安定感。これは買い。確固たる軸は見つかったのだが、相手がおらん。とりあえず、セゴビア(田中勝)、マイネルスクイーズ(橋本広)、グリーンビルボード(岡部)、アイティブランチ(江田照)の3連複で勝負!しかし、1着セゴビア(4人気)、3着パシオンノーブル(1人気)はいいが、間にブラックジョーカー(梶、7人気)が挟まりハズレ。馬単は万馬券。

 11R、函館はTVh杯。狙いはカク地のヤマオロチ。ヤネは軽量でない、北海道の五十嵐。あとは手広くチョコチョコと。しかし、キッチリとヤマオロチ(11人気が来たのに、2着のシャドウスプリング(勝浦、4人気)に届かず、18820円を逃す。福島は白河特別。57kgもあり、1番人気のエイシンダンズビルを切る。2番人気のトーアカゼノオーも切る。しかし、この2頭がキッチリ来る。もうアカン。

 運命の最終。乗れてる二本柳はDDさんの馬、エイダイヒロインに騎乗。前走17着、前々走14着で買い目はあまり無いが、ブックには「前走の逃げは見所有り」との表記。9番人気。これを買えるのはペーパーオーナーぐらいのもの。私は買わず。玉砕覚悟のわかものボックス。どれも人気薄、来るハズのない馬券。レースはエイダイヒロインの大逃げで幕を開ける。最初の1000mが58秒台。これは散るやろ、と思うが4コーナーになっても脚色は衰えず、二の脚を使う。横ではDDさんが金切り声。私とさんぎょー、笑いが止まらない(何故?)。結局、開幕週の福島の馬場を逃げ、エイダイヒロインは見事逃げ切り。2着にメジロフォスター(中谷、5人気)、3着にブライダルフラワー(マンビー、14人気)。3頭とも前前にいた馬での決着。馬連は9360円、馬単は22490、ワイドは1-3着で16680円、2-3着で17510円、そして…。このマンビーの3着が効いたか、3連複は144480円。仮にエイダイヒロインから行ったとしても、このレースは16頭立てのフルゲート。15×14/2で105通り、100円総流しでも10500円かかってしまう、まさにハイリスクハイリターンのギャンブルである。貧乏サラリーマンには酷な馬券である。が、同時にハイリターンを期待できる馬券でもあるが。

 福島は、12R中、8Rで1番人気が3着以内。1,2番人気が共に3着に来なかったのが12Rのみ。やはり、人気は1頭絡めるのが良いか、と。ただ、両方3着以内も3レース。うーん、迷うのう。まあこの辺は1ヶ月したら統計なんぞも新聞に出るでしょう。それにしても、さんぎょーの雨男ぶり。梅雨だと納得するしかないんかな。でもええ加減にしてや。


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