第40回
Wings of Buddha
〜GW特別企画 其ノ壱〜

今回掲載されている写真は、クリックしていただければ拡大表示されます。

 社会人となって3年目のゴールデンウィークが来た。そもそもこちら(関東)に知り合いがあまりいない私は、実家に帰ったりどこかに遊びに行く絶好のチャンスなのだが、過去2年はいずれも関東に留まっていた。去年はそれでも前半に大阪ドーム&甲子園の関西野球場遠征があったが、今年は100%関東である。実家に帰らないのはいつものことだが。

 5/2(金)。今年も、昨年と同様、すぐらー(現:スグノレ)がやってきた。前回は羽田にお迎えをしたが、今年は安く深夜バスのようで、朝7時半に横浜着である。前日、遅くまで仕事をしていた私だが、仕事以外の時には遅刻はしない。きっちりお迎えにあがる。朝飯を取った後、一度家に帰る。腰を落ち着けていると、スグノレがみんゴル3をやり始めるので見ていたが、さすがに早起きのツケがきたか、やたらと眠くなってきた。最初はウトウトという感じだったが、最後には熟睡してしまった。起きたら11時。遠出をするにはちょっと中途半端な時間になってしまった。最初に断っておくが、うちの会社はカレンダー通りであり、この日は有給休暇であった。断じて仕事中に寝ていたわけではない。

 さて、どうしたものか。予定は完全に未定である。11時という時間もやるせない。しかし、日がな一日みんゴルやっているわけにもいかない。とりあえず、以前メールでやりとりしていた、根岸の競馬記念公苑に行くことになった。記念公苑は磯子にあるので、ついでに南下して観光名所でも回れれば…ということで、記念公苑の後は横須賀方面に向かうことにした。

 家から根岸はそう遠くなく、時間も大してかからないのだが、出かけた時間が時間だったので、昼飯にいい時間となっていた。記念公苑のそばで食べてから行こうとしたのだが、公苑そばには飲食店が見当たらない。無論、コンビニなどもってのほかである。見つけたのは米軍基地だけだ。記念公苑は山の上にあるので、仕方がないといえば仕方がない。下山し、国道沿いのファミレスで昼飯。1時近いというのに、中はほぼ満席。今年のGWは、みんながみんな遠出をしなくなったせいか、都会も混んでいる。おもしろくない。

 昼食の後、再び根岸へ。芝生の生えた広い公園部分の一角に、記念博物館がある。芝生の部分は多いので、ピクニックがてら来る家族連れも多いようだが、我々には関係ない。一応公苑を1周してみると、途中で馬房を発見。ここに何頭かいるようだ。馬と言っても、サラブレッドばっかりじゃないだろう…と期待薄で行って見ると、なんとそこにいたのはトウショウファルコ。1992年のAJCC勝ち馬である。思わぬところで重賞勝ち馬と遭遇。喜んで写真に収める。


馬房のトウショウファルコ

ツーショット。馬が映える

ファルコ専用馬場

柴田政人のマネのつもり

 記念館のそばに行くと、今度は銅像が2体。銅像になるぐらいの馬だから、相当有名だろうと思って見てみると…。「シンザン」と「トキノミノル」だった。やっぱり有名どころ。で、ちょっと横にある広場みたいな所に行くと、版権を大いに無視したアニメキャラなどの書割がいくつも置いてある。公苑と関係ないし、第一似ているようで微妙に似ていない。下の写真がその1つであるが、おそらくネズミーランドにいるキャラのつもりなのだろう。しかし、よく見ると顔が黒い。これはいただけない。記念撮影している人など皆無である。もちろん我々を除いて、ではあるが。さらに、売店に行くと横に自販機があったのだが、よーく見るとコーンスープが「COLD」のところにある。ヴィシソワーズかい!もしそのつもりで売っているなら大したもんであるが、残念ながら売り切れだった。


シンザン

トキノミノル

黒ねずみ

ヴィシソワーズ

 これだけ外が楽しかったら、さぞ記念館内も楽しいのだろう。期待に胸躍らせて入る。入場料はわずか200円。うーん、安い。中はというと、サラブレッドに限らず、馬に関する情報が盛り沢山。写真は撮っていいのかどうかわからなかったので撮らなかったが、戦前の勝負服が置いてあったり、農耕馬の歴史があったりと、やはり期待に違わぬ素晴らしいもの。何より、200円というのが嬉しい。科学未来館は盛り沢山だが確か500円だった(会員になれば年2回で元が取れるが)。館内では、こども用に馬に関するクイズが各所で出題され、それに全問正解すると素敵なプレゼントがある、という企画もやっていた。早速参加。問題は全部で5問だったが、館内をちゃんと見回ればわかることの様子。しかしここはクイズ研。行く前にサラサラっと書いて出して受付のおばちゃんを驚かそうともらった問題を見てびっくり。ひどく難しい。問1:「馬の祖先と言われる動物とは?」……。わからん。ダーレーアラビアンとか書いたら間違いであろうし、ボケも思いつかない。仕方がないからちゃんとチェックすることにする。

 途中、順路を示す看板が2つあり、それが完全に逆方向を示していたりして、さながら迷路のようであるが、一通り回る。なんとか問題も全部解けて、さあ解答を記入しようと最後の部屋に入ると、答えが全部書いてあった。筆記用具がなかったので、逐一携帯電話のメモに入れていたのだが、まったくのムダになってしまった。これなら当然のように全問正解できるやん。で、メモっておばちゃんに渡す。解答を発見したことを告げると、「見つけた!?」と笑顔で返される。んー、どうやら子供だましのようだ(当たり前か)。しかも、期待したステキなプレゼントは完全に期待ハズレ。これこそ子供だまし。


こんなもののために…

 根岸に別れを告げ、一路南へ。時間がすでに3時を回ってしまったので、横須賀は断念し、鎌倉へ向かう。あわよくば葉山まで行く予定。葉山と言えば…行くところは1択である。ここでは敢えて述べないが。途中、山道を越えていくが、思ったより道路は空いている。今年のGWは近場志向のようだが、さすがに修学旅行シーズンというとちょと違うので、観光客が少ないのか。金沢区から鎌倉市へ抜ける林道に入ると、反対車線が妙に混んでいる。信号待ちかと思ったが、どうも列の長さがハンパじゃない。たっぷり2kmはある。この道路は、鎌倉から横浜市街や首都圏に帰る人が使うと思われる道路なのだが、これが混んでいるということは、すでに帰りのピークが始まっているということではないか。帰りが心配な反面、今から行くには空いているのかもしれないと思うのだが…

 鎌倉駅前に行く。ここには、JR横須賀線と江ノ電の踏切があるのだが、これを抜けると、ひどい渋滞が始まった。もう、全く進まなくなる。たまーにジワっと進んだと思ったらすぐに止まる。この時間に、いろんな人から頻繁にメールが来たのだが、その返事をラクに打てるぐらい車が前に進まないのである。隣のスグノレは熟睡中。今に限らず、道中、後半は殆んど寝ていた。話し相手もおらず、ラジオもロクに入らないこの街で、動けず一人ぼっちになってしまったのである。全く使えん人だ。

 鎌倉駅前から約30分。車はようやく長谷高徳院に到着。車を停め、大仏前に行く。私は小学校の修学旅行以来、実に14年ぶりの鎌倉の大仏である。ここはさすがに時間に関係なく混んでいる。しかし、観光名所なハズだが、外国人観光客を除くと、なぜかカップルが多数。これも不況の現状か。しかし、我々は見た目からしてかなり胡散臭い。言わんやスグノレをや。そんな二人がただ単に大仏見て喜べるハズもなく、興味はBlueWaveの帽子をかぶった子供に集中していた。一応、記念撮影(もちろんモデルは我らがスグノレ)はしたが、例のBWジュニアの方もきっちり激写。喜ぶ2人。完全におバカである。

 絵葉書や、写真に写っている大仏は、当然正面からのものなのだが、果たして裏に回ると何があるのだろうか、そんな疑問を持った人はいないだろうか。かく言う私もその一人。というか、ここまで来たら当然大仏の周りをグルっと周るのがフツーであるが。しかし、裏側に回ってみて驚いた。なんと、羽が生えているのである。いや、正体はただの小窓なのだが、これが開いているのである。こんなの大仏じゃねーやい。しかしこの小窓、何に使うか全くの謎。鎌倉の大仏は、奈良のものと違い、中に入ることができるのだが(我々が行った時には拝観時間は終了していた)、中から外を覗くものなのだろうか。しかし、裏から寺の裏側を見ても何も楽しくないと思うが。14年前には確かに入ったのだが、まるで記憶にない。情報求む。


正面から

背面から

 スグノレも満足したことだし、帰路を急ぐ。が、帰りにスグノレが「かまくらカスター(鎌倉名物のお菓子)買いたい」とのたまうことで予定が狂い出す。実は、この時点ですでにさんぎょーが関東入りしており、もうすぐ横浜に着くという情報が入ってきたのである(要するにメールが来ただけだが)。行きがけの道に確かにかまくらカスターの店はあったのだが、帰りにこの道を通るとあの渋滞の中を突っ切ることになり、さんぎょーに申し訳ない。協議の結果、鎌倉駅前で店を探し、無かったらまた考えることにした。大仏前から鎌倉駅に戻り、車を停めて店を探すが見当たらない。どうやら、停めた側が街として開けていない側だったようである。地下道を抜けて反対側に行くと……あっさり発見。やはり名物、駅前に置いて然るべきである。しかも、この店、毎月1日2日はセールをやっており、普段1個100円のところを70円で販売しているそうだ。ん、それはいい時に来たものだ。早速所望するのだが、70円で販売しているということは、それだけ売れる、ということである。1番人気のカスタードは早くから売り切れ、チョコも無いらしい。残ったのはヨーグルトだけ。陳列ケースも淋しいものであったが、それより、店内には店員も含めて我々以外男がいなかったのが物凄く恥ずかしかった。あまりに浮きすぎている。しばらくしておっちゃんが1人入ってきたのだが、天使に見えたぐらいである。私はいたたまれなくなってすぐに店を出たのだが、欲しがっていたスグノレは店内で物色し(とは言え、既出だが1種類しか残っていないのである)、いくつか購入。生もので要冷蔵であるから、保冷材を入れてくれるのだが、「何時間以内に召し上がりますか?」の問いに、迷わず「2時間!」と答える。今からさんぎょーと落ち合って晩飯を食うこととかの予定を一切無視した、スグノレらしい一言である。

 それにしても、集団の中で女性が1人だけいるのと、男性が1人だけいるのとでは、どうしてこうも違うのだろうか。女性がパワーを持ちすぎたのか、男性はただ単に女性が好きなだけなのだろうか。私は女性の集団の中に1人だけ男(つまり自分)がいるという環境がイヤで仕方ないのだが、皆さんはどうだろうか。精神的には強い方だと自負する私だが、こんなシチュエーションだけはお断りである。

 で、かまくらカスターも無事購入し、横浜に戻る。帰りの道でも、当然のようにナビを放棄して寝るスグノレ。一人寂しくカーステレオから流れる「異邦人」を口ずさむ私。さんぎょーを長いこと待たすわけにはいかないので、高速を使う。時間的に混んでいそうなもんだったが、順調に北上し、思ったより早く横浜に到着。江田でバスを下車したさんぎょーは、あざみ野(地下鉄の起点)まで徒歩、そこから地下鉄で新横浜入り。道中何度も電話をするが通じず。おそらくスロットでも打っているのだろう。これは学生時代から変わらぬパターンである。

 新横浜に到着。電話が繋がらないので連絡寄越すようにメールするとすぐに着信。大方の予想通り、スロットであった。それより、以前同様、さんぎょーの出で立ちはやはりジャージであった。長時間バスに乗るコツを心得ていて結構だが、この先ずっとこの格好でいるとは思わなかったが。駅前で晩飯を済ませ、そこからは時間がちょと中途半端ということで、ダーツをやりに行く。最近、会社ではダーツがちょっとしたブームである。「会社では」と言ったが、私の周りだけであることは内緒。以前、D.Dさんが来られた時にもダーツをやったのだが、さすがに向こうはボウリング場の社員だけあって(関係ないとは思うが)うまかった。今回は私が優位に立つべく、勝負を挑む。行きつけのビリヤード場に行く。この一角にダーツが10台近く置いてあるのである。さらにここは、1クレジット100円なのがいい。横浜市内にダーツはいくつかあると思うが、私が今までやってきたところで、一番安いのがここ、新横浜である。ボウリングや麻雀(3人しかいないが)など、短時間で金が飛ぶものに比べて、準備もいらず、よっぽど手軽である。

 ダーツは何回勝負したかようわからんが、始めの1回だけ勝ったスグノレが、後はメチャクチャな投法により次々と矢を折る暴挙。的に当たらないのは論外として、的に当たっても刺さらない事例が続出。このあたり、やはり日頃の行いが出てしまうのか。ちなみにルール表には、振りかぶって投げることを禁止しているのが明文化されている。もちろん読んではいないが。折れる度に取り替えに行くのは慣れているのだが、さすがに折る数がハンパじゃないので、最後の方は店員も怪訝そうな顔であった。実力が伴わないスグノレが投じた究極の一投がこちら。


魔球。

 ……ありえへん。的を外すのは見飽きたが、なぜこうもいい具合に関係ないところに投じることができるのであろうか。なぜあんな隙間にピンポイントで投げる実力があるのに的に当たらないのか。興味は尽きない。さすがはスグノレ。ピエロを演じさせたら裏金産業も敵わない、天下一品である。最後においしいとこ全部持ってかれた気分である。正直悔しい。

 家に戻り、次の日の計画を練る。スグノレは別件で明日は21時までしかいられないため、そこまでに何か楽しめることを、ということで私が提案した企画が、恐ろしい事態を招くことになるのだが……。それは次回のお話。


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