第48回
声に出して読んでた日本語

〜裏金産業海外視察 二日目〜

今回掲載されている写真は、クリックしていただければ拡大表示されます。
今回、「ハングル」という表現を多用していますが、文字としてだけでなく、韓国で話されている言葉も「ハングル」としています。あしからずご了承下さい。

 というわけで2日目。今日の予定は競馬と買い物。さて、今日はスグノレはどんなポカをやってくれるのか(←もういらんことするのが前提である)。

 まずは競馬。ソウルの競馬場は「競馬公園」という、非常にわかりやすい駅に行くものであるので、さしものスグノレも1人で行けると思われる。しかしやはり昨日の今日。各駅でいることを確認していかないと不安でしょうがない。地下鉄2号線から舎堂で4号線に乗り換え。こうなったら乗り換えの時でも心配になる。万事こういう状態である。ツアコンやられている人というのは、道中さぞ神経を使うのだろうと実感。もしくは遠足に引率する先生の気分か。舎堂で来た電車に乗ろうとするが、並んでいる人が動かない。なんだ、韓国の人は日本と違って随分とまたのんびりしとるなー、と思いきや、どうやらこの電車は舎堂が終点だったようだ。確かに電車には行き先が舎堂と書かれているが、駅の行き先表示には何が書かれているかわからないので判断のしようがない。そら、来た電車に乗るっちゅうねん。

 で、次に来た電車にようやく乗る。ちなみに韓国の地下鉄には時刻表が見当たらない(無いのかもしれない)ので、いつ来るのかさっぱりわからない。日本のように「○○駅を通過」とか書いてくれればいいのだが、どうやらそれは無さそうである。舎堂からは3駅で競馬公園駅到着。改札を通ろうとするのだが、ブザーが鳴る。実は、競馬公園は街からちょっと離れたところにあり、特定区間内ではないため、700ウォンではなく800ウォンかかるのである。700ウォン分の切符しか買っていない我々はここで封鎖されてしまったのだ。しかし、駅員も手馴れた様子で100ウォン要求(身振りのみ。おそらくそうだったと私が勝手に想像)。100ウォン払ってようやく出たのだが、ソウルの地下鉄は封鎖される時も実は下を潜ることができる構造になっている(D.Dの韓国どうまでしょうも参照のこと)。私は1人そのまま抜けることができたし、後日金も払わずに潜っているおばちゃんを見ているので、そう大した問題でもなかろう。しかし、言葉が通じない国では自分が悪いことしてすると何が悪いのかわからずオタオタしてしまう。こういうとき、人間の弱いところが出るのだが、それ以前にメンツ的に引きが弱いのでこんな事態に遭遇する可能性が高いところが元々の問題である。

 さて、競馬公園に出た我々は、前日も見たおびただしい数の売り子を尻目に、ひたすら競馬場に向かう。日本のように駅から競馬新聞を売っているところは無いのだが、人の流れから明らかに競馬場がどこだかは判断できそうである。しかも、日本のようにおっちゃんばかりではない。老若男女、それこそ様々な人々が競馬場に向かっている。感覚の違いなのだろうか。こうなれば競馬もギャンブルよりレジャーである。JRAももっと見習うように。

 駅から競馬場までは10分弱の道のりだが、その途中に大規模な駐車場があり、やはり家族連れで来ることのできるレジャーであることを実感。日本なら駐車場から競馬場まで少々歩かされるのだが、韓国では本当に目の前。すばらしいの一言である。また、途中のアーケードが実に見事。馬の蹄鉄のようである。


蹄鉄型のアーチ。横は駐車場

英語が無いとさっぱりわからん

 入り口前に新聞売り場があったので新聞を購入。何しろ情報が無いのでこの新聞次第で今日の勝ち負けが決まると言っても過言ではない。が、新聞の種類が滅茶苦茶多い。ざっと見て100種類はゆうにある。全くわからないので目に付いた黄色い新聞をチョイス。ついでに韓国のマークシートは専用ペン(「コンピュータサインペン」と書いてある)でないと認識しないらしいので合わせて購入。日本なら新聞とペンで500円は超えるが、韓国では300円弱。ペンに至っては30円である。

 中に入る。第一印象としては、日本の競馬場とそんなに変わりは無さそう。山間にあることを考えると、淀とは感じが違う。


KRA。川崎競馬みたい

新聞。やっぱり何かわからん

ペン

 中には、まあJRAよりも地方競馬というイメージがあるが、それなりにキレイである。我々は、D.Dの調べによって存在することがわかっている「外国人専用席」に向かうことにしたのだが、その場所がわからない。事前の調査では4階にあるということなのだが、エスカレータが3階までしかないのだ。散々探し回ってなんとか到着。日本語も通じるようで、一安心。外国人席に座っていることがわかるようにシールを貼らなくてはいけない(日本の指定席のバッジみたいなものだろう)のだが、これがまたすぐ取れそうになるのである。幸い、3人とも最終までは取れることはなかったのだが、気が気でない。

 さて、レースである。第1レースが11:00であるが、これには間に合わず、2レースから始める。しかし、私は眠気が襲ったのですぐに就寝。外国人専用席は200席ぐらいあったが、この時間には我々のほかに1人しかいなかった。椅子使い放題。とりあえず寝る。こういう時、勉強家のD.Dは新聞と格闘。私が持ってきた半切表(ハングルと日本語の対応表)と苦戦しながらなんとか解読しようとする。逆にスグノレは日本と同様、馬券を買うことなく傾向と対策を伺う。

 そんなこととは露知らず、私は昼まで爆睡。気づいたら13時である。今回、ソウル競馬では間に1レースだけ済州島の競馬があったので、それをやることにしていたのである。このレースは、済州島在来種の馬によるレースで、サラブレッドではない。ポニーのようであるが、どうも少し違うらしい(資料が無いのでよくワカラン)。便宜上、このレースをポニーレースと呼ぶが、厳密には違うことはご理解のほどを。

 では、予想をしてみる。チェジュのページは下記。


「제주」は「チェジュ」と読む

 …やっぱり読めない。午前中、ハングルと格闘していたD.Dに意見を聞くが、どうも彼も今ひとつ理解していない様子。スグノレはマイペース。というわけで、自分で道を切り開くしかないようである。見たところ、1番の馬がそれなりに良さそうで、かつ買った新聞も押している(ような雰囲気に見える)ので、買ってみる。1番の馬は「천상대전」の表記。ハングルで書くと4文字だが、カタカナでは「チョンサンデジョン」とやたら長い。しかも意味不明。さらに馬体重が「288kg」の表記。日本の競馬の常識は全く通じない。困ったもんだ。レースも見せ場なく惨敗。6頭に1000ウォンづつ流していたので-6000ウォンスタートである。滑り出し最悪。

 気を取り直して次のレースへ。とはいえ、やはりここはじっくりと新聞を読む時間が欲しい(さんざん寝ている人が言う台詞ではない)。次のソウル5Rはケン。その間、次の6レースの予想をする。相変わらず読めない新聞だが、外国人席入り口でもらったパンフには、英語表記が乗っているので、とりあえず馬の名前だけはハングルが読めなくても解読可能である。それが実況で言っているのかどうか聞き取れる能力は別であるが。

 5レースをケンしたので、時間に余裕ができた。ここはひとつ、鉄火場の飯というものを食べてみようではないか、との試みで勇敢な若者2名が食べ物を求める旅に出たのである。この時スグノレはすでにどこからか寿司を購入していたのでお留守番。

 売店に行くが、まずやっぱりメニューが読めない。メニューが読めないということは、その品物を購入できないということである。しかも食べたいおいしそうなものが見つからない。売店にはポテトチップスなど、ロッテのお菓子と思われるものは沢山置いてあったが、折角ソウルまで来ているので、それでは勿体ない。しかし、どこの売店にも必ず大きく赤い字で張り紙がしてあり、そこには

 오뎅

 とある。ハングルが読める人ならすぐにわかるのだが、生憎その時は私は真剣に読もうとすらしなかった。

 売店に魅力を感じないので、一旦外に出る。すると、バイキング形式の食堂を発見。が!!かなりコッテリした食べ物しか置いてない。韓国というよりは中国に近い。大衆食堂なんてこんなものだろう。食べる気がしない。ただでさえカゼ気味で調子が悪く、午前中に寝ていた私である。キムチすら食指が動かない。この大衆食堂は断念。

 路頭に迷い、一度席に戻る。さすがに業を煮やしたD.D、日本語の通じる案内所に行き、「うどんを食べたいのだが、うどんは韓国語で何というんですか?」と質問。こういうとき、臆せずに行動できるD.Dは素晴らしいと思う。その後の行動にだいたい祭要素が盛り込まれているのは大勢が予想するところであるが。すると窓口のお姉さん、

 「うどんは『うどん』でいいです」

 ときたもんだ。拍子抜け。通じるものである。もっと自分本位に生きなくては行けない。さんぎょーを見ろ。あれを自分本位と言わずして何というか。まだまだ教育不足であった我々だ。

 さて、下の大衆食堂にはもう行く気がしないので、同フロアにあるもうちょっとこじんまりした食堂に行く。ここもメニューはハングルであるが、よく見ると確かに「우동」の文字。紛れもなく「うどん」である。読んでしまえばすぐわかる。プチハングル講座をすると、最初の文字の○は読まず、下のTみたいのが"u"、合わせて「う」、右側は逆コの字が"t"、逆Tの字が"o"、○が下に来ると"ng"の発音になるのだが、"t"は母音(前の字の"u")と母音("o")に挟まれると濁るので(日本語の「山田」が「やまだ」になるのと同じ音便みたいなもの)、合わせて「どん」となり、「うどん」と読めるのだ。下に並んで先ほどから目に付く「오뎅」は実は「おでん」と読めるのである。早く気づけ。

 やっとのことでうどんにありつけた。値段は3500ウォン。日本の立ち食いそば屋より一回り大きい器に結構な量のうどんが入っており、具はニラととじ玉子のいたってシンプルな作り。ダシは関西風の薄味のようだ。しかし、これがまたメチャクチャうまい!!「うどん」言うぐらいだから日本の文化だと思っていたが、街中のうどん屋に比べたら、完全にこの食堂の勝ちである。この量と味で350円は正直安すぎる。日本で商売もできる味だ。ソウル競馬に行かれる方はぜひご賞味を。

 腹も膨れ、満足して席に戻ろうとする。と、途中に自動販売機を発見。私は目についたロッテのコーヒーを所望。600ウォン。そしてD.Dは横にあるカップの自動販売機に目を奪われる。何がすごいかって、その値段である。


ロッテのコーヒー!?

さて、何のジュースでしょうか?

 100ウォンよ、100ウォン!!ということは、10円である。江辺の駅で40円ジュースは見たが、10円ジュースはさすがに面食らう。カップが緑なところから、茶だろうか。ともあれ、D.Dが購入。

 この男、やはりタダものではない。出てきたものを手にした瞬間、ものすごいしかめっ面。何がそんなに…と私も近づいてみると、同じようにしかめっ面。味わう前にマズそうなのが伝わっている匂いである。何がそんなにすごいのかと言うと、「しょうが」の匂いなのである。絶対にお茶ではない。「生姜湯」にしか見えないし嗅げないのである。さすが10円ジュース(いや、もはや「ジュース」ではなかろう)。で、D.Dが味わってみると…嗅覚は正直である。案の定、しょうがである。誰が何と言おうとしょうがである。仕方ないので、これは留守を預かるスグノレに土産として持って帰ることにしよう(席に戻ったらスグノレには真っ先に拒否されたが)。

 6レースであるが、これは馬単発売。今日は3,5,6と3つのレースでしか馬単を販売していないようで、これが最後の馬単発売レースである。ソウル競馬の最初のレースでもう馬単最後。やる気を感じない私である。

 で、この6レースだが、ここで兼ねてからの疑問を解決すべく実証をする時がやってきた。6レースは14頭立てだったので、馬単にすれば14*13で182通りある。これを私とD.Dが91通りづつ購入してどちらがヌルいかを当てる、というものである。本当は、次の日に行くウォーカーヒルで試す予定だったのだが、D.Dがイヤがったのである。7頭づつ軸を決めて総流し。韓国の競馬のマークシートは1種類しかなく、これでJRAの所謂「緑」と「青」と「赤」の役割を果たすのである。かなり便利。その代わり、馬券は凄く見にくいので要注意。左の写真は軸馬を3頭決めており、そこから総流しをしているので、例えば12からなら頭が12でヒモが1〜11,13,14ということで総流しであることを示している。


やはりハングル表記

2人で182通り購入の証

パドック。情報量はほぼゼロ

 ちなみに、韓国の競馬は100ウォンから購入可能なので、これだけ買っても一人あたりの投資額は910円也。うーん、安い!

 さてレースだが、手元に何が来たかわかる資料がないのだが(メモし忘れた)、結果としては私が的中した。しかし倍率は13.7倍。当然大幅な取り損である。なんと7730ウォンも取り損になってしまった。まあ773円だが。

 D.Dのヌルさは相変わらずである。よほど悔しかったのか、リベンジを申し込んできた。7レース、同様に14頭立て。しかしもう馬単は無い。馬連なら先ほどの1/2の買い目なのでわずか91通りである。ここでは、14頭のうち10頭をD.Dに選ばせBox買いし、残り4頭の買い目すべてを私が抑える、というルールとなった。明らかに私が不利である(私に馬の選択権が無いから)が、まあここもD.Dの力を考えると勝てると思っていた。10頭ボックスなので45通り、私は残り46通りを担当。結果は…何とD.Dが本日最高配当の83倍をドスンしてしまうのである。私は馬単で13倍、D.Dは馬連で83倍。納得いかん。本当に納得いかん。しかしここでも460円の損であるので損失は大したことではない。的中しているさっきのレースの方が負けが大きいのは内緒である。

 ここからはもうボロボロ。予想する気力もないので新聞通り買うのだが、全然当たらない。必死になって新聞を読んでも、わかったことといえば騎手にやたら「キム」が多いことだけである。メインとなる10レース、「日刊スポーツ賞」が近づいたのでこれを買って帰ろうということになった。外に出ると…


見よ、この客の入り

 昨日の蚕室の野球場ぐらいを想像していた私は完全にビビってしまった。すごい人だかりである。GI(という区分があるか知らないが)でもないのに、ただの「日刊スポーツ賞」なのに。野球より、競馬が完全にレジャーとして確立されているのだろう。駐車場の整備状況からもうなずける。

 メインの結果はまた散々。5000ウォンも投資したがハズレ。今日はD.Dとの馬単勝負の1つしか当たらず、トータルでは31000ウォンも沈んでしまった。日本では3000円負けならヘコむことは無いが、韓国の31000ウォン負けはちょっとヘコむ。次回はもうちょっと情報収集してから挑むことにしよう。次はもう来ないと思うが。ちなみに、競馬はメインの10Rが終わってからまだ続き、最終は13R(18:10)であったことを加筆しておこう。

 これでこの日の2大イベントのうち1つは終了。続いては買い物に出かける。競馬公園から再び4号線を北上し、会賢へ。間違えずに800ウォンの切符を購入。駅ではスポーツ新聞を購入。昨日の野球の結果も気になるが、とりあえず購入してみたかったというのが本音である。1面はいきなりアン=ジョン=ファンのどアップ。これは私に対するあてつけか。と、韓国の人にはわからない話だった。あいも変わらず会社ではまだ「アン=ジョン=ファン」と呼ばれたりするのだが、いい加減やめてほしい。これなら高校時代の「吉田栄作」の方がよっぽどマシだ(別に吉田栄作と呼べと言っているわけではない。みんなテレビに影響受けすぎ)。


しばらく言われるんやろな…

後にアジア記録を更新した李(左)

ダントツ最下位のチームは…

 舎堂もそのまま過ぎ、途中「二村」という駅でメンツ的に当然祭。ま、大したもんではないが、ここで当然のようにはしゃいでいる時点で小市民である。ほどなくして電車は何事もなく会賢到着。この「何事もなく」がこの旅ではあまり無いのでそれだけで安心してしまう時点でもう小市民である。

 会賢は南大門市場の目の前に駅がある。駅を上がるとこれまたおいしそうな匂いが充満。今度は露店は露店も数が違う、本物の市場である。日本人観光客相手ではあると思うが。

 まずはグルっと一回り。露店の食べ物は見るからに怪しそうであるが、トッポッギからポンデギぐらいはなんとかわかる。食べようとは思わないが。道中、やたら日本語で話しかけられるのは予想通り。どうまでしょうの「完璧な偽者、あるよ」の掛け声もバッチリ拝聴。しかし、それより更に上を行く

 「スーパーバッタもん、あるよ」

 には一同爆笑。次に行く人はこれ以上の言葉を聞いてくるように。途中、「ノりのり天国」を横目で見ながらD.Dが以前どうまでしょうで訪れた李さんの店に駆け込む。李さんはどうまでしょうの時にはキムチの店にいたらしいが、今回はスーパーでないバッタもんの店にいた。D.Dは将軍から頼まれていた(と思しき)財布を購入するが、ど素人のスグノレが見てもニセモノとわかるニセモノである。後から将軍からもD.Dからも「なぜ購入を止めなかったのか」とこっぴどく説教されたが、その時はそれが欲しいんやろうなー、というぐらいでしか見てなかった。ちなみに李さんの店には私(ブランド物に一切興味なし)の目で見て本物と思える品は何一つ無かった。

 将軍の土産!?も購入した我々は、今度はいよいよキムチ&ノリ購入。南大門市場での買い物の経験のあるD.Dと、交渉事は仕事で慣れている私と2人で「値切り交渉」という名の闘いを挑むのである。もちろん、スグノレは癒し系として店員にめいっぱいの笑顔を振りまきまくるという、無くてはならない重要な役割を担っている。キムチは将軍が前例を作った通り、定価不明だがおよそ300円は取りそうなものを1パック1500ウォンでゲット(3人で10パック、合計15000ウォン)。ノリはお土産用と個人用で3人が多めに購入。60000ウォン弱ぐらいは3人分で買ったであろう。

 キムチはおそらくこれぐらいが底値なので交渉を最初から諦め、ノリだけで勝負である。「ノリだけで勝負」と言っても、別にテンションを高くしたわけではない(いや、テンションは高かったが)。交渉相手は若い兄ちゃんだったが、すでにデフォルトの顔が泣きそうな顔である。情に訴える作戦だろうか、我々には全く通じないが。ノリは最後には45000ウォンまで下がったが、これ以上下がらないと見た我々は追加融資を要求。安そうなノリをゲット。これで大きめのバックにパンパンに詰めてもらって1人20000ウォン(2000円)である。スグノレは横で見ていてえげつない交渉に引いたそうだが、このぐらいやらないといけないだろう。日本でも値札通りの価格で買うのが嫌いな私である。電気屋にスピーカを買いに行って7000円(ほぼ負けられない底値)の品物に対して「今日5000円しか持ってないんですぅ」と口説いて5000円に値下げしてもらい、レジで1万円札を出す私である。大体、これだけまけてくれるということは、定価がものすごい高いということだ。こんなもの、定価で買ったらバカを見る。

 続いてはスグノレの要望でメガネを購入。安いメガネ屋紹介してくれ、とキムチ屋の兄ちゃんに頼んだら隣にある店を紹介してくれた。本当に安いのか甚だ疑問だったが、不安は的中する。店員のかわいらしいお姉ちゃんと交渉するが、頑として首を縦に振らない。全く交渉にならないのである。が、ここはもう大量のキムチもあって歩くのもだるく(結局メガネ加工中は店に荷物置かせてもらって歩いていたのだが)、日本より安いということで決着。この件に関しては次回ぜひリベンジしたいものである。南大門ではバック一杯のキムチとノリとメガネ。まあまあよしとしよう。

 南大門を後にし、晩御飯を食べるために明洞に向かう。地下鉄でも1駅の間隔なので、ここは徒歩。この旅はなかなか歩くことが無いので、これが一番の遠出か。

 とは言え、やはり1駅分。20分足らずで明洞に到着。長旅でも何でもない。明洞はどちらかと言うと若者の街に近く、今まで訪れた土地と違い、カフェがあったりCDやDVDショップがあったりする。土産を買うには適さないが、まあ地元の人のいい遊び場なのだろう。静岡で言えば呉服町あたりか(もっとわかる例えを出せ)。

 食べ物を求めて彷徨う。途中、やはり目に付くのが「声に出して読みたい日本語」の類。もう列挙していくとキリが無いので写真すら収めなかったのだが、さすがにここまで多いとやや食傷気味。ホテルでもらったパンフを元に、目的地である「福清」という焼肉屋に向かう。が、載っている地図がわかりにくい。ランドマークがことごとく小さい店なのである。右も左もわからない外国で、ハングルが氾濫し間違った日本語ばかりの外国で、頼りない地図を片手に目的地までどうやって歩けばいいのか。十字路で立ち止まって地図を見直す。なんとか方向されわかれば…と思う我々に救いの手!?が差し伸べられたのである。

 3人でまだ地図と格闘していた時のこと。いきなり私が男にハングルで話しかけられた。もちろん会話は理解できない。素振りから時間を聞いているようなのだが、何故よりによって私なのか。「ごめんなさい、わかりません。」と日本語で答える。さすがに観念したのか、まくし立てるように喋っていたその男は話を止めた。やれやれ、やっと解放された…と思っていると、「あー、ごめんなさい。現地の方だと思いました。」と日本語で応答するではないか。なんや、日本人なのか?しかし、彼の国籍はまだわからない。続けて、「今何時ですか?」とやはり時間を聞いてきた。私は腕時計をしない主義だし、ここでは携帯電話も意味が無いので時間を知る術は持ち合わせていない。D.Dが腕時計をしていたので、時間を返答すると「ありがとうございます」とまた日本語。不安な外国では日本語を聞くと(ヘンな日本語の文字を見るのではなく)、心から落ち着く。さらに男、我々が路頭に迷っていることを察知したのか、「どうしましたか?」とご親切に訊ねてきた。これ幸いと我々が行きたい店と頼りない地図を見せると、現在地と目的地を的確に教えてくれた。どうやら現地の人らしい。しばらく会話をすると、大久保で焼肉屋を経営していて、今日は明洞に買出しか何かで来ているらしい。道理で日本語上手なハズだ。

 この救いの手により、ようやく店に辿り着いた。かなり奥まった路地裏にあったので、あの男のアドバイスが無かったら辿り着けなかったことだろう。感謝感謝。しかし、店の名前を聞いていないので例も言いに行けないのが残念だ。さて、福清に着いた我々は2階に案内される。店はまずまず繁盛しており、路地裏とは思えないほどだ。家族連れもおり、日本人の客もいる。この店、なぜか1階には1人として客がいなかったのだが、どうしてなのか。次回解明することにしよう。店のメニューには日本語もあり、店員にも日本語を理解できる人がいるらしい。安心して食べよう。ベタにロースやらカルビやらいろいろ注文して、いよいよ焼く時になったのだが、どうも炭の調子がおかしいらしい。いや、炭は燃えているのだが、風が来ないらしく、網に肉を置いても焼けている音も匂いもしない。しばらくして店員が異常に気づき、結局席を変わるハメになったのだが、数ある席の中でこの席を選んでしまう我々の引きの悪さは健在である。読者の方々、ご安心を(何をやねん)。

 例によって湯水のように出てくるおかずにも箸を伸ばし、食べるだけ食べた。さすがに今回は前日と違い多少値が張るだろう…と会計をすると、何と70000ウォンほど。1人3000円を切る勘定である。韓国ではとにかく食に関しては金をかけなくて大変よい。あとは味付けに慣れるかどうかの勝負だけだ。

 福清に別れを告げ、地下鉄でホテルへ。2号線の乙支路入口駅まで歩き、そこから蚕室方向へ。東大門を通過し、江辺に帰る。帰りは当然セブンイルレブンへ。この日は朝食はホテルで食したが、翌日はパンを買い込んで安くあげよう作戦に出る。翌日の予定はいよいよカジノであるが、比較的空いている午前のうちにカジノに入っておきたいための時間短縮の策でもある。例によってロッテのお菓子を買い込む私、殆んどがその日に賞味期限の切れるパンの中から辛うじて明日も食べられるパンを見つけて買い込むスグノレ、そして何のリベンジか知らないが(本当は知っているが)マッコリを買うD.D。三者三様の買い物も終わり、宿に戻る。

 宿では次の日の計画を練る。カジノなのだが、最終日ということもあり、予算を目一杯使うことを誓う3人。スグノレは競馬をロクにやっていないようなので、ここで頑張ってほしいものだ。D.Dは慣れているので大丈夫だろう。今日も企画&祭が目白押しの1日。さすがに疲れてすぐに床に着く3人であった。

二日日終了

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