第58回
3連単が無い競馬

〜裏金産業北海道視察 三日日〜

人物紹介

スグノレ D.D
ガイドブック片手に計画を練る緻密さがありながら、いざ行動を起こすと失態を繰り返すその様はもはや芸術。今回はるるぶ購入&掲載土地巡り担当。大洋ファン。 人が目を向けないニッチ産業を愛するが、それ故に話の合う人間が少ない。計画性は抜群だが、自他共に認めるツキの細さでその計画の全てを覆すこともしばしば。今回は旅行計画立案&航空券手配担当。阪急ファン。
クールてつおー 増田ジゴロウ
目的地ははっきりしているが、ガイドブックに載りそうもないところばかり。出不精なのに旅行に出るとはしゃぎ出す、1番タチの悪いタイプ。流行モノが大嫌いな天邪鬼。今回はレンタカー手配&すすきの担当。ロッテファン。 テレビ神奈川で大人気の番組「サクサク」のメインパーソナリティ。声が異常。正体不明だが、喋る内容はさんぎょーそっくり。たぶん横浜ファン。


 三日目。この日はなんと7時起床。本当は6時だったが寝坊した。なんでそんなに早く起きなくてはいけないのかと言うと、行きたい店があったからである。その名も「おふくろ食堂」。早朝6時に行く気、ということでカンの良い方はわかるかもしれないが、これは中央卸売市場の中にあるのだ。だから5時からやっているのである。この食堂、実は「玄人のひとりごと」に載っていた店なのである。中島徹ファンを自認する私とスグノレは、これにのらないテは無い。

 早速車を飛ばす。運転手はもちろんスグノレ、早朝ならば多少車も少ないので少しは安心…と思われるが、大方の予想通り、危ない運転には変わりないのである。なまじ車が少ないだけにスピードを出すもんだから、歩行者を轢きそうになる。正直恐い。こればかりは慣れない。ていうか運転手、早く慣れろ。

 しばらくして市場に到着。駐車場がよくわからないのでとりあえず近づいてみるのだが、よく見ると駐車場が空いていない。いや、空いてはいるのだが、人の往来の気配が全くない。市場にそのまま車で入り、中を走り回ってみるが、市場が開かれている様子がないのだ。それならば、とりあえず食堂の場所だけでも確認と再び走り回るが、それらしきものも発見できない。カーナビには確かにあったし、場所も市場のど真ん中だった。よくよく考えてみるとこの日は月曜日だったのだが、日付は8月16日。お盆休みということも充分考えられた。いや、それ以外考えられない。我々は諦めざるをえなかった。雨も降り出すし、本当についてない。

 一度宿に帰る。D.Dがまだいるからだ。D.Dは身支度も整えており、テレビでは昨日の横沢由貴、内柴正人の金メダルのリプレイが何度も流れている。私は非常に不愉快である(横沢由貴の関係者の方々、ごめんなさい)。結局パンとなった朝飯を済ませ、いざ出発。今日の目的地は岩見沢。昨日は中央競馬だったが、この日はばんえい競馬である。doi邸のスカパーでレースは見たことあったが、実際に馬券を買うのは初めてである。

 車は札幌から一路岩見沢へ。千歳の向こう、少し距離がある。運転手はまだまだスグノレ。一貫してD.Dは助手席に乗りたがらない。私がまだ運転教官になる必要があるようだ。週が明け、高速も混んではいなかった。3日目となってスグノレも慣れたからか、スピードが増す。市内で飛ばすよりはマシなのだが、まだ車線変更はうまくいかないようだ。女の子みたい。

 岩見沢到着。ここでゲストの登場である。我々の先輩、岩見沢在住のH田氏である。私は歳が離れているので、現役の頃を存じないし、会うのも初めてである。待ち合わせ場所はモスバーガー(ご自宅から近いらしい)だが、D.Dが「何店ですか?」と聞くと、「岩見沢には1軒しかない」との返答だった。カーナビにも1軒しか出なかった。納得。

 ほどなくしてH田氏が登場。D.D、スグノレは久々の再開である。私はH田氏をテレビで拝見したことがあるし、H田氏もD.Dの話やかつて私が出た高校生クイズなどを見てご存知だったようだ。私は人見知りをしない人間なので、こういう初対面の際には問題は無い(あとで「第一印象と違う」とよく言われるが…)。いざ、競馬場に向けて出発!しかし、そんな大先輩の前でも運転手はスグノレ。我々(D.D&私)は道中ヒヤヒヤである。H田氏も運転荒いですの返答に気さくに応じてくれたが、この往路の運転ですぐにバレてしまうだろう。

 岩見沢競馬に到着。H田氏のコネで入場無料券を4枚使用し、みんなでタダで入ろうとしたのだが、そんな我々にとんでもない張り紙が立ちはだかる。「本日は14時まで無料」…。何じゃこりゃ。普通、逆やろ。14時以降は金とんのかい。基準わからん。まあ無料券も結構いい加減なものだが。いきなり面食らってしまった我々だが、次の瞬間にはその場が一気に和んでしまう。下記の写真をご覧いただきたい。

入場招待券。なんと1年有効
夢のツーショット
窮屈…

 なぜか、onちゃんがいたのである。しかも色が微妙に汚い。「水曜どうでしょう」に出てくるonちゃんぐらい汚いのである。本来は鮮やかな黄色ではなかったか。しかも、身長が低いのである。長身のD.Dはかなり窮屈そうだ。私は背が高い方ではなく、まあ中背だと思うが、それでも屈んでやっと同じぐらいの身長である。中に入っている人はどんな体制なのか謎だ。背の低い女の子が入っているのだろうか。後ろには空気穴があったが、写真に撮ろうとすると横にいたお姉さんにメンチを切られてしまったのでやめた。厚いだろうな。ちなみに後ろの警備員のおっちゃんは最後までヒマそうだった。

 雨が相当激しくなったので、スタンドで待機。1レースまでにはまだ時間がある。観客は多く見積もって200人。月曜日だから仕方ない。売店も繁盛していないようだが、ゴール付近でなぜかジュース&ビールの無料サービス。至れり尽くせりである。赤字経営と聞いているが、大丈夫か?岩見沢市。「こんな過剰サービスするから赤字なんだ」とはH田氏談。まったくもって仰るとおり。

手前の地面の濡れ具合を見よ
スタート地点側

 レースが始まった。予想が全く立てられないのだが、さんぎょーから「坂本と鈴木がリーディングを争っている」と聞いていたので、もうここは素直に従う。印の無いような馬も、鈴木や坂本が乗っているという理由だけで購入。しかし、本当に何を頼りにしていいかがわからない。馬は1t近くあり、「トモの張り」とか全然わからん(まあサラブレッドでもわからんが)。馬体重-10kgはガレているのか。斤量10kg増は負担がどれくらい増えるのか。尺度が普段と違うので、予想に迷いが生じる。前半に傾向を把握するためにおとなしくしてりゃいいものを、私はこういう時に冷静になれない。まず馬券を買ってしまう。予想がテキトーなので買い目もテキトー。従ってやっぱり当たらないのだ。一度安い馬券を当てたが、負けっぱなしである。

第一障害を登る馬たち
真横から。大迫力!!
第二障害前。絶対にここで1列に並ぶ

 H田氏からの助言で、雨の時はダート表面が滑るので、馬が止まらないそうだ。ということは、前残りになるのである。いいことを聞いた。早速次のレースで生かそう。しかし、どの馬が前に行くかがよくわからないので結局予想には役に立たなかったことだけ加筆しておく。

 雨が止まず、外が肌寒い。onちゃんの写真でもわかるが、この日は2枚しか着ていない。8/16だから2枚でも暑いやろ、という貴方。甘い。マジパン(ケーキの上に乗ってるヤツね)のように甘い。北海道の夏は涼しいのだ。掛けて加えてこの雨。気温は20度無いのである。半袖2枚では寒いのも無理ない。レースの間、我々はなんとうどんで暖を取っていたのである。お盆中だというのに、全く信じられないが事実だ。寒かったんだってば。

 当たらずに時間と金だけが過ぎていく競馬。たった200mのレースなのに何分もかかる競馬。雨は止んだが心も体も寒いまま。北海道をナメていたわけではないが、異常であることは間違いない。みんな、どうしてるんかと辺りを見渡すと、ふと「テレビ放映」の看板を発見。そういえば、この日は佐賀でサマーチャンピオン(GIII)が行われることになっており、岩見沢でも併売するのだ。これが放映されるんだろう、と思いそのテレビに向かうことにするのだが、なぜかテレビの前には座り込んで席を確保する人たち(およそ20人ぐらい。家族連れあり)。佐賀やりたいにしてもここまでかじりつくのおかしいな、と思い放映されているテレビを見てみると、高校野球をやっていた。つまり、本当に地上波を「テレビ放映」していたのである。よく見ると競馬なんかとまるで縁の無い家族連れだ。何しに来てるんだろう。ま、入場料タダ、子供は遊ばせておけるしジュースもタダだし、飯食いたかったらすぐ買いにいけるし、便利ではあるが。これで駒大岩見沢が甲子園に出ていればまだ盛り上がるのもわかるが、駒大苫小牧だったしな。結果、駒大苫小牧は優勝するんだから道民の思い入れも今ではわかるような気がする。

 さて、ばんえいが当たらずスネている私はもうサラブレッドのレースが恋しくなって途中からサマーチャンピオンの予想に入る。圧倒的人気はニホンピロサート、鞍上はなぜか小牧太。また、武豊騎乗のニューベリーも人気しそうだ。インタータイヨウも強い。となると、例によってJRA勢が強いという安易な予想で終わってしまうのだ。この3頭からインタータイヨウを軸にしてあとは手広く買うようにした。ニホンピロサートが来たら負け、という感じで。

 JRAの予想が終わったらまたばんえいに復帰。しかし、ばんえいでの11Rとサマーチャンピオンが同じ発送時刻であることが発覚。佐賀のレースが放送されているテレビは当然のように少なく、スタンドには1つもないので2つのレースを並行して見ることができない。まあ、本当にヨーイドンと同時にスタートしたら、絶対に佐賀の方が速くゴールするのだが。果たして、その予想ははずれ、岩見沢が先にスタートしてしまった。まずい展開ではあるが、佐賀ではゲートに入らない馬がいるらしく、なかなかスタートしない。そうこうしているうちに岩見沢が終了。みんなこぞって佐賀の放送があるモニタ前に集合。いや、馬の線が細い細い。単純に体重半分やからなぁ。やっと佐賀もレーススタートするも、結果はニホンピロサート=インタータイヨウのガチガチで決まり、我々4人は誰もプラスにならず。馬連230円、馬単340円では勝負しづらい。そういや、フィガロのかつてのPOG馬、ロードウエストも荒尾所属ながら走っていた。惨敗だったが。

 岩見沢の最終にも敗れ、前日の勝ち分を少し吐き出してしまった。あくまで少しだったことは強調しておこう。年収分勝つはずの北海道競馬は、2日で学生が短期バイトで稼ぐぐらいの収入で終わってしまった。旅行代が多少捻出できたことだけよしとしておこう。私は旅先で競馬に勝つことは珍しく、記憶が正しければ合宿で高松に行った時にレディバラードで万馬券取って以来だと思う。

 帰り際、門の前に立ちはだかる怪物。これはばんえい競馬のマスコットキャラクター、その名も「リッキー」。……恐い!私が子供だったら間違いなく泣いてたな、こりゃ。事実逃げていく子供たちも大勢いた。そらそうだ。

そり。見るからに重たそう
リッキー。筋骨隆々だが愛想は良い

 その後、晩御飯を食べようという話になり、H田氏の紹介でラーメン屋に行くことになった。そういえば、北海道に来てまだラーメンを食べていない。私はそんなにラーメンが好きではないので(特に並んでまで食べるのはイヤ)別に北海道だからといってはしゃいでいたわけではなかったが。往路のスグノレの運転に郷を煮やしたのだろうか、復路はH田氏の運転となった。言葉には出していなかったが、やはりつらかったのだろう。当然の処置である。ラーメンの後はカラオケ。私とD.D、それにスグノレというメンツでカラオケに行くことは滅多にないので、ある意味新鮮。ま、他に金かからない遊びばっかりいつもやっているという証拠だろう。モスバーガー近くに戻り、H田氏に別れを告げ家路(宿だけど)を急ぐ。

 もう柔道では驚かなくなっていたが、ゴーワン単独指名の高松正裕が1回戦&敗者復活初戦でいずれも敗れる事態に大笑い。こうなると前日の内柴がやっぱり光る。

 明日は再び市内観光に。

三日目終了

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