第59回
行かなきゃハドソン

〜裏金産業北海道視察 四日日〜

人物紹介

スグノレ D.D
ガイドブック片手に計画を練る緻密さがありながら、いざ行動を起こすと失態を繰り返すその様はもはや芸術。今回はるるぶ購入&掲載土地巡り担当。大洋ファン。 人が目を向けないニッチ産業を愛するが、それ故に話の合う人間が少ない。計画性は抜群だが、自他共に認めるツキの細さでその計画の全てを覆すこともしばしば。今回は旅行計画立案&航空券手配担当。阪急ファン。
クールてつおー 大徹
目的地ははっきりしているが、ガイドブックに載りそうもないところばかり。出不精なのに旅行に出るとはしゃぎ出す、1番タチの悪いタイプ。流行モノが大嫌いな天邪鬼。今回はレンタカー手配&すすきの担当。ロッテファン。 見るからに大人しそうな性格そのものが出世を阻んでいた。最高位小結。1回だけ全盛期の千代の富士に勝ったことがある。年寄名は湊川。どこファンかサッパリわからん。


 四日目。市内観光を決めていた我々だが、前日のH田氏の助言により、おいしい寿司でも…という話になっていた。お目当ては、関根勤のマネージャで、アデランスのCMにも出ていたしかま茂雄氏の実家、「寿司・和食しかま」。場所は小樽である。札幌からなら車を飛ばしてすぐだ。前日、念入りに確認をして場所は特定できたのだが、Webに値段が掲載されていなかった(今はされている)。値段が書いてあるものもあったが、いずれも値が張るのである。それでもいいかな、とは思っていたが、3人とも乗り気ともそうとも思えないような雰囲気だったので、ここは却下。小樽駅前にある三角市場(実際に三角形の土地に作られた市場)に向かうことに。

 札幌から車を出す。例によって運転手はスグノレ。8月ももう17日になっているので、お盆休みも明けている。出かけたのが9時ぐらいとはいえ、やや交通量は多い方だ。心配していると、バスターミナル前の信号でサクっと信号無視。歩行者がいなかったので大事には至らなかったが、四日目にしてこの仕打ちにさすがの2人もマジギレ。スグノレも反省。反省したからと言って安全運転にはならんがねぇ。

 高速に乗って小樽へ。時間は1時間とかからなかった。オホーツク海を眺める海沿いの道路は走っていて気持ちがいい。運転手が運転手だけにハラハラしっぱなしだったが。ともかく、小樽到着。小樽駅をめざす。ここは一本道だったので心配せずに到着。駅前のパーキングに駐車するが、スグノレの腕と車間の狭さから、手間取るを通り越してしまっていた。車を止めて係の人に発券してもらうシステムだったので、まあ車庫入れに手こずっても料金に反映されることは無いのだが。

 小樽到着はすでに10時近く。早すぎず遅すぎず、市場も空いているのか微妙だったが、半分ほど店をやっていた。8月とあってやはり旬はウニのようだ。各店舗とも競うようにウニを並べている。カニもあったが、手が出ないほど高い。我々が帰るのはこの2日後(スグノレは明日)なので、海産物を買っても勿体ない。土産品も買わず、市場内にある食堂へ。10時という中途半端な時間にも店は空いており、先客もいた。店は10人も入れないような狭いところではあったが、先客と合わせて7人ほどなので問題ない。おばちゃんが一人で切り盛りしているような、町にある小さな食堂、というイメージだ。

 せっかくなので、とうに丼を注文すると、「三色丼にした方が具も多いし安い。うには多めにしてあげるから」とありがたいお言葉。ここは甘えて三色丼にする。うには色もよく、バフンウニであることは素人の私が見てもわかるほど鮮やかだった。元来、うにといくらを天秤にかけると間違いなくうにを取る私のこと、これには大満足。回転寿司のムラサキウニなど比べ物にならない。濃厚な味だ。北海道まで来た甲斐があった。競馬勝っててよかった。

 小樽前でスグノレが写真を撮りたいとのことだったので便乗。その後、例によっていいもの食べると腹が痛くなる性分の私は駅前のデパートで用を足す。

小樽駅前

 小樽名物の運河も、石原裕次郎記念館にも目もくれず、食べるものだけ食べて札幌にすぐに戻る。小樽=札幌間には、札樽自動車道(以下札樽道)が走っており、これに乗ることになるのだが、高速では歩行者もいないからか、まだ安心して見ていられるようになった(あくまで「下道に比べて」である)。途中、車の後ろに「水曜どうでしょう」のステッカーを貼っている車を発見。その人気の高さが伺える。「ミスターご立腹!!」というステッカーも見た。但し、写真には収めていない。並行して走ってくれれば撮れたかもしれないが、それを望むのは酷だろう。

 札樽道の札幌西インター出口付近に、白い恋人パークなるものを発見したので急遽寄り道。北海道ならではである。これがどこか地方のインターそばだと絶対にラブホテルと勘違いする名前である。甘党のD.Dははしゃぐ。洋菓子の甘さが余り好きではない私は物珍しさだけではあるが、とりあえず入ることにした。

 車庫入れがどうだったかはもう書かない。中に入るとかなりメルヘンチックな作りとなっている。30歳も近いような男3人で行くようなところでは無い。隣にあるコンサドーレの練習場の方がよっぽど男所帯には合っている。サッカーはよくわからないので外から見ただけだったが。とりあえず中年2人が記念撮影。ピノキオやリンカーンと白い恋人との関連性は全く不明である。

スグノレとピノキオ
D.Dとリンカーン

 この写真を撮った横に、大きな土産売場があった。ほとんど洋菓子(一部煎餅らしきものもあったが)。D.Dもスグノレも会社で配る用か、大量購入。それなりに喜ばれる土産であるが、どうもかさばるのが私には納得がいかない。ただ、普通チョコ系は溶けることも頭に入れないといけないのだが、そこは8月にうどんで暖を取るような気候の北海道。その心配はなさそうである。表に出ると、やっぱりあるのがソフトクリーム。で、D.Dは当然購入。北海道に来て何度目だ。毎日食うてるやん。私は腹と相談して買わず。と、D.Dがさきほど土産売場で購入した白い恋人チョコレートドリンクなるものを開封。おいしそうに飲んでいる。商品名からして私の好みにおよそ合うと思えないものだが、一口相伴。これが、とんでもなく甘い。チョコレートをただ溶かして液体にして砂糖混ぜたような味だ。甘党にはたまらない味だろうが、和菓子党にも別な意味でたまらない。お土産ではなく、完全に罰ゲームである。まだうに丼の後なのでいいとしても、これが空きっ腹だったらきっとD.Dを殴ってる。

 パークの中にはチョコレートファクトリーなるものもあった。察するに工場見学みたいなものか、資料館みたいなものであろう。しかし有料なので却下。朝はうにを贅沢に食べておきながら、ここではほんの数百円をケチる。ケチだか金持ちだか何だかわからん一行である。

外観
観光客の多さに唖然

 結局私は何一つ買い物をせずにパークを後にする。駐車料金はナンボ以上か買い物すると無料になる、デパートでよくあるシステムだったが、2人の買い物額が充分それを満たしていたので問題なし。札幌市内に戻る。この日の最終目的地は札幌ドームで日本ハム=ダイエー戦なのだが、それまではまだ時間がある。行きたい場所を前日に募っていたので、一回りしようということに。

 まずは私の希望であったハドソン。ハドソンといえば泣く子も黙る、ご存知高橋名人がいることで有名だ。今は知らないが、以前は広報をやっていたはずだ。ということは、うまくいくと社屋のフリースペースでお客さん相手に何かしらやっているかもしれない、という淡い期待を抱いていたが、行ってみてびっくり。本社は自社ビルのはずだが、一般人が入る入口が無い。完全にオフィスである。以前仕事でソニーコンピュータエンタテインメントに行ったことがあったが、そこには1Fにフリースペースがあり、当時流行っていたみんなのゴルフが置いてあった。同じようなものを想像していたが、入る場所すらない。私は仕事柄まだ商品を売り込むこともできないことはないが、この日は生憎スーツではなかった(当たり前だが)。仕方なく名人との連射勝負は諦めることに。

 次なる目的地は、D.Dの希望である北海道テレビ(HTB)。ハドソンからはそう遠くないところにあった。上にも書いた、「水曜どうでしょう」を放送していた放送局だ。どうでしょうファンのD.Dにとっては聖地といってもいいだろう。しかし、その実は地方の放送局。近所に100円パークすらない。だいぶ離れた住宅街にポツンとあった駐車場をようやく見つけ、ここから徒歩で行くことに。この辺りは丘が多く、歩くには少々しんどい地形。しかも丘ということは先が見えないということでかなり迷いやすい。我々はこれまでカーナビだけを頼りにして旅を続けていたので(それが問題なのだが)、地図を持ち合わせていない。スグノレが持っているるるぶは市街しか書いておらず、少し外れるともう役に立たない。見知らぬ土地で徒歩で地図も持たずに歩き回るという暴挙をした結果、我々は道に迷った。まあ当たり前である。幸い3人とも方向音痴ではないので、目的地方向に歩いていくと…こんな場所を発見。

こんなところにさんぎょーの魔の手が…

 確認できただけで第1〜第6まであった。恐ろしいや。ちなみに、この写真を撮っている時にこのハイツの住人にものすごーく怪しい目で見られたが、それも当然か。普通の人から見れば何でこんなところを写真に撮らなくてはいけないのかと思うわな。

 さて、そうこうしているうちにHTBに無事到着。東京や大阪の放送局と違い、自由に拝観できるスペースがものすごく小さい。これは仕方ないが、展示物がほとんどどうでしょう関連であることは興味深い。入口には大泉洋とミスターがお出迎え(色褪せてるけど)。社屋内には韓国で買った「バレンチノ」の皮ジャンまであった。我々のほかにも観光客風の方が何人かおり、その人気の高さはまだまだ衰えを知らないようだ。

屋上に巨大onちゃん
大泉とミスター。色褪せ気味
例の皮ジャン
その説明書き

 さて、表に出ると今度は隣にある公園に。ここもファンにはおなじみ、水曜どうでしょうの前枠、及び後枠のロケ(というほどのもんでもないが)地、平岸高台公園である。行ってみるとわかるが、びっくりするぐらい狭い。ミスターがカブ乗りまわしたりしてたので、もっと広いところだと思っていた。写真後方が結構急な丘になっており、遠近感で広く見えていただけだと思う。どうでしょうで使われなかったら絶対に表舞台に上がることのない近所の公園レベルである。下の方に写っているのはスグノレ。

平岸高台公園

 ひととおり堪能したところでHTBを後にする。今度はスグノレのリクエストで、るるぶに載っていたラーメン屋、純連に向かう。場所は札幌ドームにほど近いところだ、というのがスグノレの調べた結果らしいが、HTBから車に向かう帰り道に、なんと偶然発見してしまう。どこがドームに近いんだ、めちゃくちゃHTBに近いじゃないか。また罵倒。るるぶ、ここでも役に立たず。

 時刻は14時を過ぎている、雨も降っているというのにすごい行列である。このエッセイでも何度か書いているが、私は何か食べるために並ぶことが大嫌いな男である。ここでもソリが合わない私とスグノレ。しかしスグノレが言うてきかないので、大人の対応をすることに。スグノレに並ばせて私は有料駐車場からラーメン屋の駐車場に車を移動させることにした。駐車場に入れて戻ってきても列が短くなる様子は無い。人気の店のようだ。店内のテレビでは高校野球の中継をしており、岩見沢競馬に続いてまたしても高校野球を観てしまう。ま、3人とも野球好きだし、退屈凌ぎにはなるので問題はないのだが。2,30分ほど待って、ようやく席に着く。並んでいる最中にすでに注文は取っていたので席に着いてからはあまり待つこともなくラーメンが来た。味はそれなりにうまいが、スープによって相当の差があったように思う。私個人の感想としては並んでまで食べるラーメンではないと思ったが、並んでなければ食べたいと思うラーメンだ。ただ、表面にラードを浮かべているのか知らないが、熱が全然逃げないため常にラーメンが熱い。お茶以外は高い温度が苦手な特殊な猫舌の私には少々キツかった。

 さて、腹も膨れていい時間にもなったのでそろそろ札幌ドームに向かう。純連からは15〜20分ぐらいとナビの計算。夏休みも佳境で満席になることは無いだろうから焦ることもないのだが、早めに行くことにした。16時ぐらいにはドーム到着。で、有料駐車場を探す。前日、「内野指定+ドーム駐車場券セット」という割引チケットの存在を知った我々だったが、それは全て売切だったので、民間の駐車場を使うしかないのだ。私が人生で一番よく訪れたマリンスタジアムには幕張メッセの駐車場が6000台ぐらいあり、そもそも6000台も埋まるほど客も入らないのでいつも駐車場の心配をすることはなかったのだが、当地は2004年から北海道に本拠を移した日本ハムがかなりの人気のようなので不安だった。少し離れたところに駐車場を発見。まだ1台も入ってないところから、我々がどれだけ早く着いたかが伺える。さて、ここでドーム内でもブラブラしてまったりと過ごそうかと車を降りた矢先、スグノレから驚きの一言が。




















 かばん忘れた。

 はいはい、わかりました。ラーメン屋まで取りに戻りますよ。

 D.Dを席確保のためドームに残し、私とスグノレは再び純連に向かう。今度は遅くなるとD.Dに申し訳ないので私が運転。往復30分足らずでもう一度ドームに戻る。途中D.Dからはそれなりに混んでいることを聞かされていたが、2人がドームに着いた時には席に余裕があった。それにしても日本ハムフィーバーはすごいようで、レフトは早くも満席に近かった(野球狂のみなさんはご存知かと思うが、札幌ドームは3塁側がホームである)。この時はまだダイエーの身売り話は具体化も何もなく、新規参入の話もなかったことから、パリーグ消滅を危惧する垂れ幕や板などがそこかしこに置いてあった。ライトにはわずかにしかいないダイエーファン。我々はセンター寄りに座ったが、そこもしばらくしたら日本ハムファン(ほとんどが新庄ファン)に凌駕されてしまった。

札幌ドーム名物のサッカーグランド。
サッカーの試合の時には
ドーム内にスライド
練習風景。客はまだ疎ら
天井からはなぜかonちゃん

ライトのスコアボード
場所的にナゴヤ球場みたい

 試合はダイエーが日本ハムが押本、ダイエーが星野の両先発。ダイエーは城島が五輪で抜けているとはいえ、日本ハム相手には負けられない。対して日本ハムは打線の核となる小笠原を五輪で欠く苦しい布陣。4番に座っている高橋信の活躍に期待といったところか。試合は5回まででダイエーが3本のホームランを打ち、6-0とリード。一方的な試合展開に、レフトの客も帰り始めた。我々も試合終了まで観ると周辺道路が渋滞して出るのに時間がかかることが懸念されることから、帰る時期を見定めていた。ところが、7回裏に日本ハムの打線が爆発。先頭打者の高橋信のソロを皮切りに星野が打たれ始める。1死1,3塁で山田にスイッチするが、代打オバンドーに四球、さらにトップに返った新庄に走者一掃の二塁打を浴びる。続く坪井も代わった松からヒットで続き、あっという間に1点差。試合がわからなくなってしまった。こうなるとレフトは大騒ぎ。「おーいおーい北海道」ばっかりである。我々はここで9回表終了後帰ることで合意。8回途中からダイエーは三瀬が登板し、8回を締める。9回表のダイエーは建山の前に無得点。帰り支度をして帰路を急ぐ。

 帰りの車でラジオを聴くと、解説は誰か忘れたがやはり日本ハム贔屓だ。千葉テレビの倉持ほどではなかったが。北海道を挙げて日本ハムを応援しているのがよくわかる。これだけを聴いてても、やはり本拠地移転は大正解だったと思う。地域密着というのは楽天のミキティも盛んに言っていたが、これから更に重点が置かれるのではないか、と思うが、そうなると地域に根付いていないロッテは心配だ。9回裏、先頭の代打森本が四球。続く奈良原が当然のように送り、ここでまたしても新庄。しかしこの男、絵になる男だ。あわや逆転サヨナラホームランかというデカい辺りを飛ばし、ついに同点。延長戦に入ってしまった。ますます早く出てきて良かったと思う我々。試合は10回表にダイエーが2死満塁までチャンスを広げるが、井口が二ゴロに倒れる。そういえば井口を見たのってこの試合が最後やな。10回裏からはダイエーが倉野、日本ハムが横山を持ってきて、ずっと三者凡退。引き分けに終わってしまった。この試合、ダイエーが勝っていれば日本ハムの最終成績が5割ちょうどでロッテとプレーオフ第0ステージが行われていたのだが、そう思うと残念でならない。田口ではダイエーの正捕手には器が小さすぎたか。

 その後、さらにスグノレのるるぶにより宿の近くにある喫茶店で晩飯。名物はここでも洋菓子系甘味だったが、私は普通に定食。メニューに「今日のおかず」とあり、「これは何ですか?」と訪ねたのだが、「おかずはおかずです」という回答。どうやら意思の疎通が正しくなされなかったようだ。大丈夫だろうか、あの店。

 朝からいろいろ巡ったこの日もようやく終了。最後はやっぱり五輪を見てしまう。明日はスグノレが1日早く帰途につくためにD.Dと2人での行動。さて、その結果やいかに!?

四日目終了

目次へ