第85回
鉄分補給の旅 Vol.2
〜2007 鉄道の日記念企画〜

 2日目。朝5時の起床。低血圧の私にしては驚くほど早いのだが、そうでもしないと日程が消化しきれないので仕方ない。

 この日は高崎から上越線を上がって新潟に行き、いくつか駅を回って長野まで。目的地は松本。

 高崎駅  10/7(日) 6:00 総営業キロ 358.2km

 6時。高崎駅の上越線ホーム。ぜんぜん人がいない。日曜日の朝に電車に乗る人も少なかろう。もっともな話である。我々さんぎょー一座は新潟方面の電車を捕まえなければいけないのだが、最初の目的地である水上駅に行く始発が6:23。6時に既にホームにいるのは、心配性のさんぎょーが放った「座る席がなかったらどうすんねん」という一言に起因する。が、どう考えても杞憂。この調子なら1分前に駆け込み乗車しても絶対に座れる。しかも時間ギリギリにならないと電車が来ない罠まで巧妙に仕掛けられている。10月の朝の高崎は寒い。薄着で来た私にはつらいのだが、さんぎょーはしっかり重装備。どこまでもマイペースな男。

 水上行きの電車がやってきた。高崎始発なので当然誰も乗っていない。ホームには殆んど人影が無いので座る席も選び放題。ロングシートなので端のほうの席を確保し、すぐに就寝。電車に揺られることを主目的としているのにこれではあかんがな。

 水上まではおよそ1時間。途中で乗ってくるのは学生ばかり。周りの景色はずっと田園風景。さすがにすぐに睡魔が襲う。隣ではさんぎょーも寝ている。起こす人がいなかったら、やはり寝てしまう。悪循環。唯一、電車のドアが開くたびにちょっとした冷気が入って目が覚めるくらい。長袖で襟付きではあるが、薄いシャツしか着ていないのですぐ目が覚める。ドアが閉まるとすぐ眠る。この繰り返し。

 水上駅  10/7(日) 7:26 総営業キロ 417.3km

 1時間かけ、電車は水上に到着。水上温泉郷の真っ只中。水上到着間際は川と山の間を縫うように走っていただけに、いかに山間の駅であるかがよくわかる。そして駅に降りた我々を待ち構えている試練があった。外気は10度近く。とにかく寒いのである。暖を取る場所も一切ない。当然のように、コンビニなんてものもない。駅前には温泉街の普通の朝の風景とタクシーが何台かあるだけである。次の電車が8:19発と約1時間の待ち合わせ。そして寒波。はっきり言って拷問である。唯一、駅舎内が寒さを凌げる場所ではあるが、暖房の類があるわけではないので、「風が入って来ない」という程度の違いしかない。

水上駅
駅舎。外観だけはキレイ

 自動販売機のコーヒーのなんと温かいことか。これで「冷たい」しか売ってなかったら凍死していた。それほど薄着の私にはツラい状況であった。周りに何も無いのは前述の通りだが、駅前の道はいちおう山道(車道なので山登り、山越えの車は通る)なのだが、通りすがりのドライバが「この辺にコンビニありませんか」と聞くくらいである。それほど宿泊客でなければ何も無い場所なのである。かけて加えて、駅のKIOSKがまだ営業を始めていない。我々が到着した後におばちゃんがゆっくりと店を開ける準備をしている始末である。寒さもヒドいが、それを紛らわすためにやることもない。

 ちなみにバス停も併設されていたので時刻表を見てみるが、近い時間でバスが来る気配が無い。バスの待合所も当然のことながら寒かった。

 しばらくして、ホームの奥の方に電車が停まっていることに気づく。近づいてみるとどうやら乗れるらしい。中に入ると暖房がガンガン効いており、駅員か運転手か、とにかくJRの方々が4人ほどボックス席1つを占領して暖をとっていた。これ幸いと、我々も席に座る。電車の中は暑すぎるくらいでもあるが、外の寒さに比べたら全然マシ。どうやらこの電車が北(我々が向かう方向)に進む電車のようなので、だいぶ早いが待たせてもらうことに。

 1時間のタイムラグがあるのは、実は次の電車の待ち合わせである。我々が乗った電車の1本後の高崎発の電車が、8:12に水上に到着する。で、この電車が8:19発。じゃあ何故その電車に乗らなかったのか?の問いには繰り返しとなるが、座る席の確保のためである。高崎では杞憂に終わったこの心配、現段階でも水上では杞憂となりそうだ。ちなみに水上から北に行く電車は夜行を除くとこの8:19が始発。そりゃKIOSKも開けんわな。

 8:12着の電車がやってきた。これも水上終点なので乗客は水上駅が目的地でない限りこの電車に乗ってくる。どうせ大した客の数ちゃうんやろな…と思っていた我々の目に飛び込んできたのは、満員とまでは言わないが乗車率のかなり高い電車である。この電車から我々の乗っている電車までは跨線橋を渡らなければいけないのだが、その階段へ我先にと乗客が押し寄せている。この光景には二人で唖然。と当時に、1本早くして座る席だけは確保できていたさんぎょーの読みの鋭さに脱帽する私であった。

 水上駅  10/7(日) 8:19 総営業キロ 417.3km

 この電車は長岡行きであるが、我々の目的地は水上から2駅のところにある土合駅。この駅は、下り(現在我々が乗っている電車)のホームがトンネルの中にあり、改札口のある地上までは高低差70m、長さ481m、階段数にして実に486段もの差がある知る人ぞ知る「モグラ駅」なのである。今回の旅の主目的の1つがこの駅の訪問なのだ。

 土合駅は谷川岳の登山ルートの途中にあるため、この駅の利用者は登山客が殆んど。ということで、この電車に乗ってる人は殆んどが登山の格好をしている。当然防寒対策もバッチリ。トートバッグ1つで薄着でいる2人組など通常はありえないのである(しかもそいつらが1本前に既に水上に着いてちゃっかり席を確保している)。

 土合駅  10/7(日) 8:28 総営業キロ 417.3km

 電車は10分足らずで到着。途中からずっとトンネルの中のため景色を望むことはできないままの到着である。想像以上の造りをしている駅である。薄暗いのはトンネル内だからしょうがないとしても、ひんやりするのは変わらない。何より、眼前にそびえるその階段がとんでもないのである。まあ写真をご覧いただければ一目瞭然なので、まずは見ていただきたい。

ホームから線路を撮影
駅標。薄暗い
問題の階段

 上の方に若干の光があるが、それ以外はただひたすら階段が続いている。5段ごとに2歩分くらいの踊り場ともいえない段差の無い部分があり、5段登るのに7歩歩く計算になる。100段で140歩、400段で560歩。しかもご丁寧に5段ごとに白いペンキで段数の表示まである。段数がわかっているだけに、これがかなり苦痛なのである。

 ちなみに、階段の左側にスペースがあるのだが、これは将来のエスカレータ設置を見越したものらしい。ただ、このトンネルができて40年、バリアフリーが叫ばれる昨今なのにその工事に兆しすら見えないということは、今後も設置は望めないと思われる。足腰に自信がない人にはおすすめできない。

 覚悟を決めて階段に挑む。1段1段かみしめるように登るのだが、途中で萎える。そりゃ486段もあったら萎えるってもの。途中で後ろを向くとこんな感じ。もう下もよく見えない。

途中から階下を眺む

 250段くらいいったところで、休憩用の椅子が申し訳なさそうに置いてある。しかし、こんなところで休憩すると逆に疲れる。一気に登りきらないといけない。しかも、この後駅前からバスに乗る予定になっている(当然、バスは地上を走っている)。バスの時間は8:58。従って、電車が到着してから30分で階段を登りきり、バス停まで辿り着かなければいけない。これを簡単やな、と思っているあなた、甘い。何しろ、我々はバス停の場所がわからないのである。早く地上にあがってバス停の場所を確かめないといけない。そんなわけで、先を急ぐ。とはいえ、500段弱なので普通に歩けば30分はかからないのだが。

 しばらくして、ようやく地上が見える。道路を隔てて反対側に駅舎があるので、渡り廊下を渡って駅に。とりあえず地上駅も拝見。

土合駅(地上)
土合駅駅舎。モグラ駅をアピール
渡り廊下

 土合駅(バス停)  10/7(日) 8:58 総営業キロ 417.3km

 谷川岳からバスが来た。何人か乗っている。この時間、この場所、しかも山登りじゃなく逆方向なので誰もいないと思っていたので意外。

 バスは1駅手前の湯檜曽駅に向かう。なぜバスに乗るのかと言うと、土合駅を見るため、先ほど乗った電車を降りると、次に来るのが約1時間半後であり、そんなに長いことトンネルの中で待つことがヒマなことこの上ないのと、湯檜曽駅も土合駅には負けるもののトンネル駅として有名であり、それであればバスを利用して2つとも回ってしまおう、という魂胆なのである。

 約5分で湯檜曽駅に到着。路線バスで380円。5分でこの値段はやや高めだが、走ってる道が道であるので保線の意味も含めてこのくらいはしょうがない。

湯檜曽駅(バス停)

 湯檜曽駅(バス停)  10/7(日) 9:03 総営業キロ 417.3km

 腹が減ったので店を探すが、駅前は寂しいばかりで休みの郵便局があるだけ。しかし、バスの車内からさんぎょーがうどん屋を発見した、とのコメントを信じ、バス停から土合駅方向に歩いていく。

 が、行けども行けども見つからない。1軒だけそれっぽい建屋があるにはあったが、暖簾はもちろんのこと開いている様子が皆無。道筋にある雑貨屋も朝が早いせいか開いていない。従って、結局腹ごしらえはどこでもできないということに。

 次の湯檜曽駅の電車は9:55。まだ時間はある。ということで、道中にある足湯に入ることに。こんな感じ。

ゆびその湯
落ち着いて入るさんぎょー

 写真では見づらいが、八角形の湯船で足湯にしては随分と湯がなみなみと入っている。この「なみなみ」が事件を起こす。

 さんぎょーははしゃいで足湯であるにも関わらず、湯船を旋回。バシャバシャと子供のように歩き回る。監視役の私は「いつものことだな」レベルで気にもとめない。落ち着いて温まった後、さあ駅に向かおうと思った矢先、湯船からこぼれまくっているお湯が各所にダメージを与えていたことにようやく気づく。特に深刻なのがこれ。

戦失品

 ビショビショとなった靴下である。しかもさんぎょーの、ではなく私の。さんぎょーの靴下は当然無事。お目付け役のみが被害を被る形となった。ヒドい話だ。数泊を予定していたので予備の靴下があるのが幸い。なにせ10月の山間部、この気候で靴下なしでも平気なのは石田純一くらいだ。予備の靴下で急場を凌ぐ。残念ながら戦禍を被った靴下はここで永久のお別れとなった。

 足湯から再び湯檜曽駅に向かって歩く。まだ店は1軒たりとも開いていない。

 湯檜曽駅  10/7(日) 9:35 総営業キロ 417.3km

 次の電車は9:55。まだ20分ほどある。余裕で駅に着いた。誰もおらんやろうな、と思って駅の構内に入ると、やたらと響く声がする(前述どおり、湯檜曽駅もトンネルのため)。ああ、人がおるんやなー、と思って聞いていると、どうやらただの声ではなくて歌声の様子。角を曲がってトンネル内を見渡せるところに行くと、明るい声で「長崎は今日も雨だった」を歌っているおっちゃんがいた。しかも傍らには犬が。要するに散歩をしている最中にこのトンネル駅に入ったようなのである。そしてクールファイブ。もう文句なしに2人して大爆笑。ここは長崎ではなく群馬である。

 よく聞くと、トンネルだからなのかいい具合にエコーがかかっている。どうやらここがおっちゃんのお気に入りスポットなのは間違いない。おっちゃんが帰った後で我々も歌ってみたが、意外に気持ちいい。まったくいい趣味している。

 歌もひととおり楽しんだところで、今度は駅の造りを楽しむことに。土合と同じく、上りと下りでトンネルと地上の違いがあるので、2つとも見てみることに。まずは地上駅。

湯檜曽駅
地上ホームからループ線を眺める
駅構内のホームへと続くトンネル

 ここでのポイントは何と言ってもホームから見えるループ線。土合から湯檜曽に来る途中の上り線の線路である。つまり、長岡方面から水上行きに乗ると、途中で車窓(進行方向の真横)にこれから行く駅が見えるという、珍しい構造になっている。ちなみに我々は今回この上り線には乗っていない。

 続いて地下ホーム。

湯檜曽駅(地下)
トンネル出口付近
こちらは奥側。お先真っ暗

 水上から来た電車は、新清水トンネルに入ってすぐのところで湯檜曽駅到着となる。従って、土合ほどの深さも暗さも無い。が、トンネル内部に入る方へは電灯1つなく、非常に暗い。ホームの端にトンネルに下りるはしごがあり、さんぎょーが30mほど進んでみるもあまりの暗さに断念したほどである。ちなみにこの線は夜行列車が通るので夜中にこんな線路に降りると間違いなく轢かれる。日中でもやってはいけないのでご注意を。

 トンネル内を散策していると、線路にとあるものを発見。

高崎名物

 暗くてよく見えないかもしれないが、間違いなく「だるま弁当」の空き箱である。なにもこんなところに投げ捨てなくても…。

 そんなこんなで駅での退屈はしのげた。定刻どおり9:55に電車がやってくる。今度は登山客も少なく、我々は充分に座る席を確保することができた。ただ、電車に乗る際に「なんでこんな格好している2人組がこんなところから乗るんだろうか?」と疑問符がついている客が多かったことは間違いない。

 越後湯沢駅  10/7(日) 10:26 総営業キロ 448.8km

 湯檜曽から30分、次なる目的地である越後湯沢駅に到着。新幹線も停まる大きな駅である。

越後湯沢駅

 越後湯沢からは北越急行線を通り、直江津駅まで向かう。北越急行はその線の殆んどがトンネルやら高架でできており、線路が驚くほどまっすぐにできている。そのため、最高時速が160km/hまで出る弾丸路線なのである。が、それゆえ車窓を楽しむことができない。そこで北越急行では1日に2本、「ゆめぞら号」という車内のスクリーン上で映像を見ることができる電車を走らせている。1本目が11:42に出るということなので、我々はそれに乗ることに。1時間程度時間が空くことになった。

ゆめぞら号上映スケジュール

 これを機に、買い物やらATMでの現金確保などに動く。まずは土産漁り。2日目で荷物は増やしたくないのだが、さすがは米どころ、煎餅やらおかきやらおにぎりやら、米にまつわる食べ物がびっくりするくらい美味い。特に2人して大絶賛したのが駅で売っていた豆おかき。驚くのはその安さ。3〜40枚入っててなんと630円。かさばるのは難点だが、これを逃すと出会えなさそうな安さと美味さに惹かれ、2人ともお買い上げ。おかげで我々は大きな箱を抱えて旅を続けなくてはいけなくなった。

 ATMはさんぎょーお得意の郵便貯金から。郵便局の場所を駅前の地図で確認し、なんなく現金を確保。あとはトイレに行ったり他に買うものが無いかブラブラしたり。私は上着を買いたかったが、土産用のプリントしてあるパーカーしかなかったので諦めることに。

 駅弁を買い、ゆめぞら号に乗る。乗車率は50%といったところか。ちなみに途中の六日町までがJR上越線、六日町から犀潟までが北越急行、そして犀潟から直江津までが再びJRの信越本線。間の北越急行はこの切符では乗れない。越後湯沢から直江津まで直通で行く場合は別途1350円(はくたかに乗る場合はプラス1130円)が必要。

 11:42に発車。が、ここで物凄い眠気。道中、トンネルの多さ=つまらない車窓から寝てしまうのは仕方ないのだが、殆んど覚えていないという痛恨。4回あった映像のたびに目は覚めたが(スピーカの真下の席だったから)、それ以外はほぼ寝てた。土合、湯檜曽と並んで有名なトンネル駅である美佐島駅も夢の中。映像の写真が無いのが何よりの証拠。ほんま、すんません。

 直江津駅  10/7(日) 13:01 総営業キロ 533.0km

 …と読んでるだけだと何もおもしろくないまま、北越急行はすっとばして直江津駅。

直江津駅

 北陸本線の筒石駅に。美佐島はおいといて、この日3つ目のトンネル駅。直江津からはわずか4駅。電車も20分ほど待つだけで来た。北陸本線は特急を除くと大体1時間か1時間半に1本(特急は1時間に2本ある時もある)。それを考えると20分は長くない。

 13:22に直江津発。が、特急追い越し待ち合わせがあり、すんなり着かない。結局たった4駅ながら20分以上時間を要した。

 筒石駅  10/7(日) 13:45 総営業キロ 551.4km

 筒石駅到着。まず驚くのがホーム幅の狭さ。トンネル中で足元が暗いのにこの狭さは脅威。百聞は一見にしかず。とにかく写真を見ていただこう。

筒石駅
このホーム幅

 モデルは例によってさんぎょー。人が3人並べばギリギリ程度の幅。2m程度か。ちなみに土合の写真と見比べればおわかりになるかと思うが、もうこの段階では半袖。手にしている買い物袋は越後湯沢駅で買ったおかき。

 幅を物語る看板が。時刻表なのだが注意書きを読むと、

注意書き

 つまり、ホームに普通に立ってるだけで危険な場所なのである。

 この駅、地上の改札まで土合ほどではないが長い階段(確か300段くらい)を上がらなければならない。が、我々には時間がなかった。6分後に来る下り電車を捕まえなければ次の行程に支障が出るのである。しかもこのトンネルはホームもそうであるが、トンネルそのものも幅が広くないので、ホームが千鳥式に配置されており、ホームの移動も少し時間がかかる。階段を少し上り、下りホーム行きの階段を下る形になるのだ。

 急いで今いる上りホームを出る。ホームと階段の間には、

風圧もバッチリ遮断

 このような頑丈な扉で仕切られている。これは、このトンネルが特急列車も通るための危険回避策なのである。駅員も常駐しており、電車が停まる度に扉を開閉している。また駅員は地上のホームから電車が来る度に階段を下りて、電車が行くとまた地上まで上るそうだ。大変。

 階段を上る。そして階段を下りる。土合での予行練習!?が役に立つ。小走り程度の急ぎようだったが、6分はさすがにかからず充分間に合う。地上に出る場合は大変そうだが。

上り階段(スロープだけど)
駅の通路とは思えない

 いろいろある駅の割には6分という制限時間のためあまり堪能できず。次回は地上にも出てみたい。

 上り電車に乗り、再び直江津駅へ。

 直江津駅  10/7(日) 14:10 総営業キロ 569.8km

 筒石に向けて出発してから、約1時間で目的地をまわってさらに元の直江津駅まで戻ってきてしまった。

   次の目的地は、新潟方面、信越本線の青海川駅。日本一海が近い、というフレコミのある駅なのだが、2007年の中越沖地震のため駅の一部と線路が土砂で埋まる被害があり、復旧間もない時期の訪問、となった。

 直江津では20分ほど待ち、14:29発。青海川駅は直江津から9駅、約35分。途中の犀潟駅は北越急行との接続駅で、直江津まで行く際に通った駅だがそこから先は未知の領域。海沿いを走る風光明媚な車窓だ。

 青海川駅  10/7(日) 15:04 総営業キロ 599.4km

 この旅が始まり、およそ600km。思えば遠くへ来たもんだ。

 青海川駅は復旧作業は一通り終了しているものの、海側には高い鉄柵があり、駅から海が眺めづらくなっていた(昔は無かったそうだ)。

青海川駅
崩れた跡がある山肌

 駅にあった駅ノートに土砂崩れの際の写真があった。

青海川駅

 2ヶ月で復旧したと聞くが、早い復旧で本当によかった。あ、指は当然さんぎょーのもの。

 ここでは約25分の待ち合わせ。ヒマなので海に出てみることに。駅から海までの道がわからなかったが(すぐそこなのに道が無い)、途中にこんな橋が。

橋?

 渡った先に道は無い。一体なんのための橋なのだろうか。

 上の災害時の写真には駅舎があったが、今は基礎工事からやりなおしている関係で取り壊されていた。簡易待合室には駅ノートのほかに椅子が一脚あったが、近所の家族連れと思われる方に占領されていた(彼らは電車を待っている感じでもなかった)。

仮駅舎

 待っていた電車が来たので乗る。当然先ほどの家族連れは乗らず、誰かを迎えに来ているわけでもなく。

 今乗ってきた線を戻る。まずは三度となるが直江津駅に。

 直江津駅  10/7(日) 16:02 総営業キロ 629.0km

 今度は信越本線を逆に行き、長野駅に。駅としての目的はこの日はもう無く、移動だけとなる。長野駅に行くのは乗る電車が長野までしか行かないから。

 途中、有名なスイッチバック駅の二本木駅があったが、睡魔に勝てずに爆睡。さんぎょーに起こされるまで全く気づかず(スイッチバックだと進行方向が変わるので違和感を覚えて起きる場合が殆んどである)。私は電車に乗ると本当によく眠る。運転士や車掌には絶対なれないと思う。

 長野駅  10/7(日) 18:17 総営業キロ 704.0km

 記事上は数行だが、時間にして2時間以上もすっ飛ばして長野到着。

仮駅舎

 ここからは篠ノ井線。この日の宿がある松本駅に。

 長野では25分待ち。日も暮れ、また寒くなってきた。長野だけに駅には立ち食いそばがあり暖かそうな湯気を出している。無論、私はそばが食べられないそばアレルギーなので食べる気はしなかったのだが、腹が減ったのは事実。さんぎょーが立ち食いそば屋のメニューに「紙丼:20円」というものを見つけて大興奮(写真は残念ながら無い)。大人の私は「電車に持ち込める用の使い捨ての容器のことだ」と優しく諭してあげたのだが、紙丼が本当にそれなのかはわからずじまい。長野在住の方、どなたか教えて。

 18:40、長野発松本行き。長野からなので「あずさ2号」は走ってません。

 篠ノ井線は途中にある姨捨駅が出色。スイッチバックもさることながら、駅からの車窓は日本三大車窓に数えられるほど眺めが良いところ。ちなみにあとの2つは北海道の狩勝峠(廃線のため電車では行けず)と九州の肥薩線にある矢岳越え。私はどれも行ったことが無い。

 姨捨駅  10/7(日) 19:07 総営業キロ 725.8km

 そんなわけで姨捨到着。到着前にスイッチバック。停まる場所が踏切のど真ん中。知らずにここを車で通る人はびっくりするやろな。何せ踏切にさしかかった電車が停まって逆に走り出すなんて考えたこともない。

姨捨駅

 で、いよいよ三大車窓のお目見え。さあ、心ゆくまでご覧下さい!!

ビューポイント
全景

 ……暗すぎて全然わからへん。もちろん棚田も全然わからん。伝わらなくてごめんなさい。実際はホンマにキレイです。でも昼に行くべき(←追い討ち)。

 引き続き篠ノ井線。でもここからは見せ場なし。

 松本駅  10/7(日) 19:57 総営業キロ 766.7km

 松本駅到着。これでこの日の長い行程が終了。

松本駅

 次の日の行程相談をしなければいけないが、その前にやることが。明日はこの旅の山場、立山黒部アルペンルートを通ることになっているのだが、何しろアルペンというだけに高地であるし寒い。前述どおりあまり厚着をしていない私には致命的なのだ。そこで上着を買いに行かなくてはいけない。20時前なのだがお店が閉まってしまうと対応しようがない。アルペンルートの朝は早いのだ。

 幸い、駅前にあるデパートがまだ開いていたので無事購入。痛い出費だが凍えるよりは全然マシだ。心配なのは例によって雨。そして気温。予報によるとアルペンルートの道中、気温は6℃。まだ10月だというのに半端じゃない寒さが予想される。果たしてそんな中、雨男二人の今後の道程の運命やいかに。


経費
JR 鉄道の日記念切符 3060
北越急行 乗車券 1350
小計 4410
2日合計 8090
  
本来の経費
JR 乗車券341.9km分 5780
北越急行 乗車券 1350
小計 7130
2日合計 14100
  
得した分
合計 2720
減価償却率 [本来の経費] / [経費] 161.7%
2日合計 6010
減価償却率 2日合計 174.3%

注意:JRは全て「営業キロ」で計算しているので、実際の運賃と違う場合があります。


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