第30回
サンノゼでわしも考えた

注意!:今回は写真が多いので、iモードでは多分見られません。悪しからず。

 夏期休暇中、仙台ツアーを敢行していたのは前回書いた通りであるが、夏期休暇だろうが、メールはチェックしろ、というのが我が社の方針である。残念ながら、こいつのおかげで荷物が増えるのだが、緊急のメールなんか来た場合にやりとりしなければいけないので、これも文明の発達だと思い、我慢するしかない。

 仙台初日の夜、いつものように会社のメールを閲覧していると、そのメールはやってきた。差出人はうちの部署の技術のボス。

「来月末のサンノゼのカンファレンスに参加して下さいな」

 突然の出来事で面くらってしまった。カンファレンスに出るのはそう珍しいことではないが、今回は場所が海外である。こういう大事なことをメールでサラっと言ってのけるうちの上司に脱帽。

 さて、海外出張である。ご存知の方が多いと思うが、私は生まれて24年、一度も海外に行ったことが無い。日本が好きなのである(なんかイベンド事がある時だけ高まるナショナリズムは大嫌いであるが)。金が無いから今まで行かなかったと言われればそれまでだが、ともかく海外経験は全くない。TOEICは自腹切って受けた475点が過去最高点である(ちなみに、この時は横浜のみなとみらいで受けたのだが、リスニング中にやたらと汽笛が鳴るので受験者には不評だったのはナイショである)。英語が通じる保証などまるで無い。その前に喋れない。聞き取れもしない。さて、どうしたものか。前回も書いたが、パスポートがあるのが不幸?中の幸いである。

 嘆いていてもしょうがない。現実に出張は行かされるのである。ここはポジティブに。準備にとりかかろうとするが、まず何を持って行けばいいのかがわからない。忘れていけないのが、パスポートとPCとチケットと現金(カード含む)であることはわかるのだが、着替えなどどのくらい持っていけばいいのかわからない。量もさることながら、向こうの気候がようわからんので、どういった種類の衣服を持っていけばいいのであろうか。滞在は1週間であるが、向こうで洗濯できる保証が無いので、1週間分持っていくしかなさそうである。とまあ一応、持っていくものは決まった。しかし、今度は入れるものが無い。前述通り、海外旅行に行ったことのない私には、スーツケースなるものは当然のように持っていない。まあここは我が社が商社であることを考えると、海外出張に行っている諸先輩方に拝借すればよいだけの話で落ち着く。

 ある日、会社に行くと、今度は「国際運転免許を取得して下さい」のメール。ということは、向こうで車の運転をさせられる、ということである。パスポート取得より遅い取得の運転免許(2年弱)で、海外で、左ハンドルで、右車線で運転しろと言うのである。ほぼ自殺行為。だが、会社には逆らえず、夏期休暇の最後の日に運転免許センターに行く。センターに着くと、「国際免許取得:約1時間」の文字が目に止まる。……。やばい。やることが無い。古今東西、運転免許試験場は田舎にあるものなのだが、ご多分に漏れず、横浜もやたら田舎にある。勿論、周りに時間を潰すようなところは皆無である。あるのは、代書屋と写真屋だけである。仕方がない。売店のおばちゃんと話して時間を潰す。が、5分後に名前を呼ばれる。何か書類に不備があるかと思い、窓口に行くと、「はい、では国際免許です」と言われ、あっさり完了。じゃあ1時間て書くなよ!思いつきでそんな時間書くとは、あんたらさんぎょーか!手続きより、写真撮影の方が長いってどういうことやねん。

 当日。朝から小雨パラつく天気である。人生初の海外だと言うのに、散々な門出である。私らしいと言えば私らしい。逆境に耐えてこそ、人生価値があるってもんや。ふふん。12時に先輩と横浜駅で待ち合わせなので、11時ちょい過ぎに家を出る。あ、ちなみに直行ですよ。大きなバッグ持って私服で会社行きづらいからね。で、タクシーを拾って横浜駅へ。このタクシーは交通費として会社で落とせるか疑問であるが、一応領収書は取っておくことにする(結局海外でなくした)。横浜駅に着いて電話すると、すでに改札を通ってホームにいるとのこと。飯を食う予定がいきなり狂う。電話口では、「買ってきてー」の声。崎陽軒でしゅうまい弁当を買って改札をくぐる。日本最後の(別に永住するわけではないが)食事がしゅうまい弁当とは。中華に過ごしてしまったわ。

 特急「成田エクスプレス」で約2時間弱で成田空港到着。フライトまで約3時間。…ヒマである。やること言うたら、両替とチェックインだけであるが、両替は5分で終わるし、チェックインにはまだ時間がある。しょうがないから空港内を徘徊。そうそう、1回行くべきところがあったわ。成田といえば、そう「レストハウス ブルースカイの間」である。うーん、これ言うてわかる人は何人いるんやろか。まあこれ読むぐらいの諸君はみんなわかるやろけどね。しかし、あそこは突然行って入れるかどうかわからんし、誰か使ってるかもわからんし、3ポイント分光るのあのテーブルは置いてないやろし。そもそも雑然としてるかもわからん。高校生クイズの時は、船の甲板っぽいところでクイズをやったのだが、カメラの反対側に、それはそれは雑然と椅子とテーブルが置いて(積んで)あった。テレビで写らんところは、どうせそんなところやろ。

 おお、話がだいぶそれてもうた。そうこうしているうちに、チェックインの時間。諸先輩方と落ち合う。いよいよ搭乗。ちなみに、私は2時間以上のフライトの経験が無い。人生を振り返っても、「羽田→小松」「小松→羽田」「羽田→伊丹」の3回しかない。各々、1時間足らずなので、延べ時間でも3時間あまりである。それが今回は約8時間。生涯フライト時間も一気に3.67倍である。しかし、飛行機ってなんでこんなに退屈なんやろ、というぐらいやることが無い。一応、本を2冊(小説とクロスワード)持っていったが、小説は宮部みゆきの短編集なので、おそらく2時間もあれば読み終わるし、クロスワード1冊やるには絶対飽きる。が、その悩みも杞憂に終わる。1人1台のテレビがセットされているのと、機内でNHKを放送していたことが幸いした。すごいぞ、アメリカン航空!日本語喋れる人が少なかったのが玉にキズだが。おかげでずーっと「ためしてガッテン」見てもうたわ。

 そんなこんなで約8時間半。17時のフライトで到着は同日の10時半。途中爆睡したつもりも、実は3時間ぐらいしか寝られず。なんぼ貧乏性でも、飛行機のエコノミーでゆったり爆睡するというのは難しい。サンノゼ到着時には、予想通りの時差ボケである。日本時間なら晩の1時半やからねぇ。しかし、帰りはもっと時間がかかるやろから、さらにつらそうである。今から覚悟しなければ。

 で、サンノゼ空港。まずはレンタカー(車種はボルボ!)を借りて宿へ。地図に地名が載ってないので、文字通り、手探りである。それより何より、車の運転に全く慣れないのである。今回、参加者は7人であったが、当然のように一番下っ端の私が運転手となる(車は2台借りたが、もう1台はやはり同期が運転していた)。まず空港内でいきない逆走。あたりまえのように左車線を走ろうとする私を必死で止める先輩たち。空港の敷地でこれだから、一般道はどうなってしまうのだろう。で、次にワイパーとウインカーを間違える。もはやお約束の感はあるが、本人はほんとーに必死である。また、USではセンターラインがきちんと引いておらず、中央分離帯がない道路では、どこを走っていいのかがよくわからない。普段は右端を走ってりゃいいのだが、左折の際に、どのレーンに入るべきなのかが全くわからない。最初は、信号の見方すらよくわからなかった。こんな奴に、5分で免許を発行する政府も間違っていると思われる。お役所仕事、本領発揮!


生まれて初めての左ハンドルの運転。
ちょっと気を許すと口が開くのは小さい頃からのクセである

 なんとか宿に到着。チェックインの際にテキトーに英語をかわし、荷物を置いて観光にでかけることになった。「どこに行きたい?」との先輩の問いに、機内で「地球の歩き方」を熟読していた私は、迷わず「スタンフォード大学」と言ったが、間髪いれずに「一人で行って来い!」と突っ込まれ、あえなく却下。なんて人たちだ。次に「カリフォルニア大学バークレー校」と言ったが、2秒で却下。「じゃあインテル行きましょう」「却下」。「アップルは?」「却下」。「Xilinxは?」「そのうち行ける」。「じゃあどこがいいんですか?」「サンフランシスコに行こう」…。どうやら、若い衆には選択権は無かったようである。じゃあ聞くなっちゅうねん。

 ここ(サンノゼ)から、サンフランシスコまで、ハイウェイを飛ばして1時間ぐらいで着くらしい。が、道がよくわからない。私が乗っていない車には、カーナビが装備されているようなので、ついていくことにした。が、最初の交差点で直進レーンからいきなり左折され、はぐれる。我々の車には、宿でもらった地図と、レンタカーを借りた際にもらった地図しかない。ちなみに、宿でもらった地図は、もらう際に"around here"と言ったばっかりに、本当に宿のまわりしかない(1km四方ぐらい)。一方、レンタカーの地図はかなりざっくりしている上に、サンノゼに詳しくない。さて困った。町を彷徨っていると、ハイウェイの看板と"San Francisco"の文字があったので乗ってしまう。フリーウェイのようである。さすがUS。しかし、平均時速が速い、速い。しかも車も標識もマイル表記なので、日本人には馴染みが薄い。そういえば、宿のエアコンは華氏表記だった。なんで世の中にグローバルスタンダードが2つもあるのだろうか。UK行ったらヤード表記だから3つか?

 サンフランシスコまでは、40マイル(65km)ぐらいあるようだが、フリーウェイで飛ばしたため、1時間足らずで到着。一度、100マイルを出してみたかったが、どの車線もそれなりに車がいたので断念。でも、85は出した。左側が追い越し車線なのは最後まで慣れず。常に車体が右に寄るのは、日本での慣れのせいであろう。途中、湾のヘリにある野球場を発見。おお、これが噂のパシフィックベルパーク(SFジャイアンツの本拠地)か?と思いきや、看板に思いっきり"3COM PARK"の文字。機内で読んだ「地球の歩き方」によると、どうやら昔(といっても4,5年前)のジャイアンツの本拠地であるキャンドルスティックパークらしい(名前が変わったようだ)。うーん、まあそれはそれで感動的。マッシー村上はここで野球やっとったんやな(後で、レンタカーでもらった地図にも旧名で書いてあることに気づく。つまり、ナビがナビになってへんちゅうことやな)。

 サンフランシスコ市内に入ると、一度ハイウェイが切れており、街中に突っ込んでしまった。既出だが、地図はざっくりしすぎてよく見えない。何より、現在地がよくわからないので地図の意味が無い。連絡を取ろうにも、携帯のバッテリーが切れたのか、通じない。しょうがないから、完全に別行動である。なんとか、目的のハイウェイに乗りなおして(1時間か1時間半ぐらい、サンフランシスコ市内を彷徨った)、北に向かう。このままこのハイウェイに乗っていると、ゴールデンゲートブリッジに辿り着くようである。

 ハイウェイに乗りなおしてからは着くのは早かった。半島の先っぽに行くと、写真でも、ウルトラでも見たあの赤い橋げたが見えてくる。いやー、感動!しかもスケールがまたデカい!ベイブリッジ(もちろん横浜にあるヤツのことよ)なんか比べるに値しないぐらいである。将軍、機会があったらここでマラソンクイズですぜ。


ゴールデンゲートブリッジ。
残念ながら、渡っている最中の写真しかない…
「はしゃげ!」の先輩の声に反応するアホズラ。
若干写っている欄干の色から、
ゴールデンゲートブリッジだとかすかにわかる。

 渡り終わったところに展望台があり、そこから橋を眺める。んー、実に壮観。で、ふと湾に目をやるとアルカトラズ島が。遊覧船も出ていて、上陸できるらしい。


アルカトラズ島(かなり見難い…)
後ろにジワーっと見える橋は、SFベイブリッジである

   GGブリッジを後にする。ていうか渡った橋をもう一度渡る。そしたら帰りに"$5"の標識が。なんで片道だけ払うねん。おかしいやろ。これがUSやな。おー恐。南側から渡るだけの人はタダやねんな。

 サンフランシスコ湾をぐるーっとまわってフィッシャーマンズワーフへ行く。ここはさすがに観光地。駐車場も完璧に整備されている。USは車庫入れはみーんな頭からなので、左ハンドルでもそう苦労しない(車幅はわからんが)。立体駐車場の中で、お約束の左側通行。ついつい対向車がいないと忘れるんやな、右側通行を。

 なんとか停めて買い物へ。まずは腹ごしらえ。ちなみに、この時の時間が2時半である。日本時間は朝の6時半である。腹の具合よりも眠たくてしょうがない。もちろん、この間の運転は私一人である。バー形式のカフェに入る。名前が何と"Eagle Cafe"!ここにガレオンがいたら二人ではしゃいでいるところだが、生憎一緒に行った先輩方が競馬をご存知なかったので仕方がない。メニューはよくわからんので、とりあえず頭の方に書いてある"Eagle burger"を注文。およそ$7とハンバーガーにしては少々割高やなぁ、と思い、出来上がりを待つ。すると、予想以上の量。マクドのセットに毛が生えたぐらいを想像していた私は面食らってしまった。まず付け合わせのフライドポテトの量がハンパじゃない。マクドで言うたらL2個分ぐらい。で、サラダもつく。吉野家の生野菜サラダ2,3個分。で、ハンバーガーがマクドのハンバーガーの約1.5倍。これで$7。よく考えたら、すごい割安。さすがUS。海外の初の食事がこんなんやとは思わなかった。ただ、飲み物が無いのが玉にキズ。これだけ食うたら胸焼けするっちゅうねん。

 何とか全部食べきり、外へ。ここからは、さっきのアルカトラズ島に行くことのできる船が出ており、艀には長蛇の列。金曜日だと言うのに、みんなそんなにヒマなんやろか。我々は貴重な時間を割くのをやめ、買い物へ。EagleCafeの近くにあったスポーツ用品店へ。SFジャイアンツやら、SF49'ersやら、地元のスポーツ関係のグッズが所狭しと置いてあった。ジャイアンツグッズが欲しかったが、いいのが無く、49'ersは少々割高だった(Tシャツとかそうでもなかったが、ヘルメットとか買うても置き場所に困る)。仕方なしに店を出る。そこからブラブラしていたのだが、結局いい店は見つからずじまい。先輩方はいろいろ買っていたようだが、まあこれもしょうがない。欲しくないもの買うても後悔するだけや。途中、ストリートで手品やってるおっちゃんがいたので見ていたのだが、やたら手際が悪かった。でもおひねり(実際には小銭をそのまま投げていただけで「ひねって」はいなかったが)が飛んでたのには笑った。もはや縁日状態。

 日が傾き、だいぶ疲れてきたので宿に戻る。駐車場ではまた左側通行。しかも出口まで気づかず(出口の料金所で初めて気づく)。ちょっと油断するとすぐコレである。帰りはまあ道に迷うことなく、無事に到着。途中、半分寝ながら運転していたので、前の車にオカマ掘りそうになったこと2回。♪運転手は僕だ〜、車掌は僕だ〜…。虚しい。それよりしんどい。時差ボケって大変やなー、とつくづく実感。まあ雰囲気としては、徹マン後に競馬行った帰りと同じやな。でも寝不足で高速40マイルを時速80マイルはきつい。

 宿に到着。同部屋の先輩はいきなり横になる。しょうがないから、別の先輩とホテルの1階で晩飯を食う。軽めにサンドイッチを注文するが、出てきたのはコンビニの三角形のサンドイッチ8つ分ぐらいのパンと、やはりマクドのL2個分ぐらいのポテトである。和食好きの私には堪える。これから1週間大丈夫やろか…。部屋に戻ってテレビをつけるとCNNヘッドラインが。おお、これが本場のCNNヘッドラインか。勿論、何を言うてるか8割わからんが、とりあえず感動。翌日から朝7時からの仕事(朝飯含む)。早く寝よ。

 翌28日(土)。土曜日だが仕事。朝6時起床。7時に大広間みたいな会議室に行くとバイキングの朝飯が用意してある。当然ながら、コメは無い。ポテトとベーコンエッグであった。食べながら、今日の晩ご飯についてみんなで協議。リブを食べることになった。折角USに来たんやし、どうせならやはりそういう系統のもんを食わんとね。

 晩。ハイウェイに乗ってSaratoga Avenueまで行く。その間約15分。まあまあ近い方ではあるが、ハイウェイに街灯が無いのが恐い。さらにセンターラインは基本的にキャッツアイなので、ライトの当たる角度が悪いと見えない上、車線変更の際にボコボコいうのである。しかし、運転は交代してくれへんし、しょうがない。運転をして、現場に着く。USの方の紹介された店(「Tony Roma's」という店名だった)であるので、味は保証済み。で、何頼んでいいかよくわからんからとりあえずオススメを聞くと、「オニオンリング」と「リブステーキ」だと言う。じゃあ、それを。ちょっと経ってオニオンリング登場。…多い。まあ多い。天一のどんぶり2杯分ぐらい多い。16人いて4つ頼んだので、4人でどんぶり2杯である。メイン食べる前に腹いっぱいになるっちゅうねん。さすがスケールが違う!ってこのセリフ飽きたな。で、いよいよメインのリブが登場。で、これまた想像以上。皿を見たとき、レンガかと思うたわ。そのぐらいの(どのぐらいだ?)大きさである。レンガ1個分のリブ。いくらリブは骨が多いと言っても、さすがにスケールが違いすぎる。昨日のサンドイッチでうっすら感じていた肥満への恐怖が、いよいよ現実のものとなって押し寄せてくる。付け加えて言うと、このレンガ1個分でハーフサイズである。向かいのおっちゃんはレギュラーサイズを美味しそうにほおばっていた。レギュラーなら当然レンガ2個である。もうその貪る姿と言ったら…。USって恐い。

 宿への帰りにスーパーに立ち寄る。なんか、テレビで見るようなデッカイ所で、カゴの大きさとかも半端じゃない。んで、値段の安さも半端じゃない。日本ならどう考えても1000円はする牛ステーキ肉が、$2だったりした日にゃ、あんた、逆に牛の肉かどうか疑ってしまうっちゅうねん。さらに、スナック菓子とか、袋のサイズがデカい。ジュースなんか、家庭用洗剤の入れ物に似た入れ物に入っており(しかも当然デカい)、全く飲む気がしない。歯ブラシなどの日用品と、本売場で安かったクロスワードの本(1冊$2.99!)、それにツマミやら菓子やらチョコチョコ買って帰る。で帰りにはぐれる。道は真っ暗で、街灯は数えるほどしかない。往きは道知ってる人の車に付いて行っただけだが、帰りは頼りになる人が全くいない。 既出だが、カーナビもない。夜で看板も見にくい。しょうがないからハイウェイがある(とおぼしき)方向に車を進めると、アッサリハイウェイが見つかる。目的地までは、ここから何回も乗り継いでいかなければいけないのだが、間違えたら即座に下りて反対方向に乗りなおしができるのがフリーウェイの強みである。日本もなんとかしてほしい。道路公団。

 宿に到着したのは飯を食い終わってから1時間半余り経過していた。夜の運転はなるべく控えたいものであるが、それより何より誰も運転を代わってくれないのがツラい。みんな国際免許持ってるハズなのにぃ。

 29日(日)。日曜日だが仕事。朝6時起床。朝飯を食べにいくが、また当然ながら、コメは無い。ポテトとベーコンエッグであった。いや、全く前日と一緒。この日は晩に、ベンダーフェアーというものがあり、ある会社(名前は伏せます)がカフェを貸切にして我々に御馳走を振舞ってくれるのである。エントリ制であったが、私は予めエントリ済である。

 晩。18時にホテル前にバスがズラリ。どうやら、目的地へはバスで行くらしい。言われるがまま乗る。ホテルから約15マイルぐらい離れた、Palo Altoという街へ。私が行きたいとダダをこねた、スタンフォード大学がある街である。そこの住宅街の一角に、目的地はあった。名を「Q Cafe」と言ったが、ようはバーである。メニューを見ても酒ばっかり。私は酒が飲めないので、ソフトドリンクの有無を聞くと、店のお姉ちゃんがいくつか言ってくれたのだが、"Coke"しか聞き取れなかったので、迷わず注文。食べ物はバイキング形式で勝手に取ってくれ状態だったが、メインディッシュがリブだったのには吐き気すら覚えた。プールバーであったので、ビリヤード台があったのだが、ここで賭けをやっていた。6個のポケット直近にボールを置き、手玉を好きなところに置く。で、店のおっさんが指定した玉に対して次々とポケットに入れ、ノーミスで6個入れたら、プールされた参加料を総取り、とただそれだけである。おっさんは一番取れなさそうなところを指定するので、次の玉のことを考えて突くことができないことと、三角の形したあのスタートの時置くヤツ(名前知らない)が障害物となっているところにこのゲームの妙味がある。また、この△のヤツに参加料(遠くからで良く見えなかったが、$5か$10)の紙幣を入れていくのである。なんかまさにUSのギャンブルって感じでカッコイイ。参加資格は特にないようだが、ルールを把握するのに時間がかかったことと、プールされている参加料が少ないこと、英語が苦手なことなどから、参加を見送った。隣ではダーツをやっていたが、これは事前エントリ制のようで、私は参加登録をしていないので参加資格がなかった。まあ食事&飲み物がすべてタダだったので、詰められるだけ詰め、しばらくして宿に戻ることにした。この日はトピックス少ない。


ビリヤードはこんな感じ。絵心なしですまぬ。
あ、よう見ると穴あらへんがな。見逃して。

 30日(月)。朝はいつも通り。しかし、元来からの和食好きの先輩の一人が、いい加減日本食を食べたい、と言うので、こっちのエンジニアに日本食屋のありかを聞く。近所に1軒あるらしいが、寿司屋で高いらしい。そこはパス。で、ちょっと離れたダウンタウンの方に、居酒屋が2軒あるとのこと。おお、それはすばらしい。ぜひ、行こう。ということになったのだが、2軒とも、電話をかけても全く返事がない。この電話番号の信憑性を疑ったのだが、ホテルで確かめ直したので間違いない。で、どうも繋がらないので、フロントに行っていろいろ聞いてみると、USでは月曜定休日の店が大半とのこと。残念である。他に日本食食べられるところはないものかと聞いてみると、先日行ったTony Roma'sのそばが、旧ヤオハンだったから、その辺りは日本人が多いと聞いた。おお、それは朗報である。一度行っているから道はわかるし、日本人が多いということは、日本食が多いということである(と思う)。期待大。

 晩。先輩と2人でボルボを飛ばす。今回の車は、なんとナビつき!もう迷う心配は皆無である。でも運転はわしがやる。後輩なのでしょうがない。ナビで日本食屋を探す。すると、いくつか候補が挙がったのだが、噂に違わず、所在地はSaratoga Ave.が多かった。やはり、ここに行けば何かある!胸躍る日本人約2名。車はハイウェイを降り、Saratoga Ave.に到着。先日は気づかなかったが、確かにTony Roma'sの周りは日本語の看板が多かった。真正面のスーパーなんか、モロに「MITSUWA」と書いてあり、横には寿司屋とカタカナで「サーティワンアイスクリーム」とある。目移りしてしまいそうだが、値段がどれも高く、全部却下。で、ナビの設定をしなおす。すると、この通り沿いに定食屋があるようである。名前は「Azabu」。名前だけ聞くとすごーく高級そうであるが、多分名前負けだろうと勝手に我々は推測。果たして、その予想通りの店が見つかった。外見は大力食堂みたいな感じで、どう贔屓目に見ても高級感はない。これなら庶民にも手が出そうである。店に入る。「いらっしゃいませー」の声。ああ、日本っていいねぇー(ここは日本ちゃうけど)。しかし、日本語の挨拶まで仕込むとはナカナカ…と思っていると、奥から出てきたのは日本人のお姉ちゃんだった。歳のころなら20歳、現役女子大生という感じである。近くに女子大は無さそうだが。しかし、ここのお姉ちゃん、可愛かったー。名前を聞くと、「みどりさん」と言うらしい。うーん、素敵だ。まさかダンナはセンベイさんではあるまい。さらに、続いてみどりさんのお母さんとおぼしき店のおかみさん登場。日本人である。家族で移り住んだのだろうか。仮にそうだとしても英語が堪能だったので、最近来たわけではなさそうである。メニューを見ると、ご丁寧に日本語で書いてある。肉は飽きたので、魚を食べたかった私は、迷わず「さんまの塩焼き」を注文。先輩は「豚の生姜焼き」を注文していた。しかし、店の雰囲気といい、店員といい、ここが日本であることを忘れてしまいそうである。我々の後に、3人ほど客が来たが、すべて日本人であった。地元の人にとっては行きつけの店なのだろう。ただ、1人だけロシア出身の女性がいたことも付け加えておく。日本が大好きで、母国語のロシア語と、現在生活しているUSでの言語の英語が堪能なのに、この上日本語まで勉強中とのこと。素敵だ。日本のことをどれぐらいご存知か聞いてみると、「さくらさくら」を歌ってくれた。歌詞はメチャクチャだったが、音程はバッチリ。ただものではない。雑談してるとお茶と箸を運んでくる。日本では見慣れた(箸は割り箸かもしれないが)光景だが、これがUSなのだからすごい。感動しっぱなしである。先輩は、「俺たちは勝ったんだ!」と叫ぶ始末。何に対しての勝負なのであろうか。敢えてツッこまないでおこう。久しぶりの日本茶だったが、味はまあまあだった。こんなところでそんな高級なお茶を出されても、感動する人がいないのであろう。お茶にうるさい静岡県人の私としては、いちおう努力を認めて及第点を与えることにしよう。

 やがて、食事が運ばれてくる。生姜焼きは日本で見るのとまったく一緒。うまそうである。そしてさんまの塩焼きが運ばれてくる。これも日本でよく見るものである。が、ただ1点違うことがあった。それは、2匹出てきたことである。さんまの塩焼きは$10.50だったのだが、これはUS価格として納得しているつもりだった。まさか2匹とは…。これがUSサイズなのであろう。って2匹は飽きるわー。最初に言うてや。文句ばかり言っていてもしょうがないので、食す。んー、うまい!日本人に生まれて良かったと思う瞬間である。やはり日本人は米飯に焼魚である。冷奴も単品で頼もうとしたが、日本の感覚で頼んではいけないような気がして二の足を踏んでしまった。さんまも2匹あることやし。しかし、うまい。米はカリフォルニア米でなく、日本の米のようで、味は文句なし!さんまも普通にうまい。この日本食における「普通」に出会うのに、ずいぶん苦労したもんや。卓上醤油のびんがかなりデカかったのは見なかったことにしておこう。「キッコーマンソイソース」とカタカナで書いてあったのだが、カタカナで書くぐらいならフツーに「しょうゆ」って書いてほしかった…。

 そんな幸せのひとときが、そう長くは続かなかった。とにかく、さんま2匹は飽きるのである。アメリカ食と違って、さんまの塩焼きは淡白な味付けであるから、全く食事が進まない。ご飯と味噌汁はおかわり自由であったが、ご飯と味噌汁だけではいかんともしがたい。先輩はとっくに食事が終了している。最後は味わうことすら出来ず、むりやり書き込んで完食。まあ全体的には満足である。支払を終えて帰る。道中かなり気持ち悪かったが、ガマン。それでも運転はさせられる運命である。

 10/1(火)。今度は晩飯に飽き足らず、昼に日本食を食べようと申す先輩。ちなみに昼休みは1時間であるから、往復の時間を除くと30分ぐらいしか落ち着けない計算である。始めは断ったのだが、涙ながらに頼まれて、とうとう折れてしまった。また運転手やし…と思ったら、「おれが今度は運転するよ」の一言。やれありがたい。かくして、この度始まって初めて私は右座席に座ることができた。が、ナビをいきなりミスし、住宅街に入ってしまった。地図を見てもよくわからないし、一方通行がやたら多い。地図で、この道を行ったらいけると思うのだが、その道が一通であったこと数知れず。なんとかハイウェイに乗ったときは、すでにホテルを出てから30分経過していた。

 しかし、今日の日本食にはアテがあった。前の日、MITSUWAのそばで見つけたラーメン屋である。その名も、「どへんこつ」。徳島ラーメンと書いてあった。正直、徳島はラーメンで有名なのだろうか。徳島ラーメンの特徴って何なんだろうか。日本食と言っておきながらラーメンであるし、そのラーメンの美味さは全くの未知数。やはり断固行かないの1点張りがよかったようだ。

 ハイウェイに乗ってからは迷うことなく目的地に到着。3回目やもんなー、間違えへんわ(出だしで思いっきり間違えたのは忘却の彼方)。ラーメン屋に入る。入り口に、「ベイスポ」という日本語の新聞を無料で配っていたので何部は拝借。情報は1週間遅れだったが、すべて(広告も)日本語だったのには驚き。その広告に、「江本孟紀講演会」があったのにはさらに驚いた。USまで来て講演会やっとるのか、コイツは。「値段」「会場」の下に、「使用言語:日本語」と書いてあったのには爆笑してもうた。えもやんに英語はムリやろ。で、店内に足を進めるのだが、厨房に日本人の顔が見当たらない。ウエイトレスは日本人なのだろうが、シェフに日本人はいないようである。さらに心配…。で、食す。…。正直、味はうまくはなかった。ちょっと腕のいい海の家レベル。まずくはなかったが、ある1点にコショウが一塊で入っていたのは何とかした方がいいと思う。かくて、前日のさんま同様、後味が悪くなってしまった。失敗とまでは言わないが、宿代に食費が含まれている分、ホテルで食べていた方が正解だったような気がする。

 昼を終了し、ホテルに戻る。午後のスケジュールに余裕があったので、仕事を早めに切り上げ、サンフランシスコまで買い物に行こうということになった。今度は4人で車は1台。しかも同期が運転をしてくれるらしい。彼は私よりだいぶ前に日本で運転免許を取得しており、運転に関しては彼の方が腕が上やから、まかせることにしよ。

 今回は、先輩の一人が「古着を見に行きたい」ということで、古着のメッカ(と先輩が言っていた)のHaight Streetに行く。なんか、量り売りとかしてるらしい。現場に着くと、なんか地元の街って感じ。黒人の方々が多い。通りで賭けポーカーやっとった。はっきり言って恐い…。少し車で走ったのだが、駐車場が無いことに気づく。みんな、バスかケーブルカーでここに来るらしいのと、地元の人が多いこと、さらに路駐が多いことが要因である。我々もここは地元の人に習って、路駐をすることにしよう。で、カドの1台分空いているところにピッチリ停める。が、停めている最中に現地の人から大声で呼び止められてしまう。なんかヤバイことでもしたか?と思うたが、よーく聞くと、「あっちにスペースあるよー」と言うているようだ。んーいい人や。こうして地元の触れ合いができるのも大事な経験。で、車を停めて買い物へ。何軒も古着屋があったが、ホンマに安い!中には新品同様のジーパン$5とかある。ただ、サイズがデカい。良さげな上着が何枚かあったのだが、すべてXXLだったので買う気もおきず。試着したらワンピースみたいである意味可愛かったのだが、そんなネタのために荷物を増やす気にはならん。結局何も買わずにHaight Streetを後にする。で、ちょっと夕暮れまでに時間あるかわ、我がまま言うて、サンフランシスコ湾の方に向かってもらい、パシフィックベルパークを見に行く。閉まっており、中は見学できなかったが、ライトの球場と湾の境の塀が低く、ボンズが打った打球がこんな感じで湾に行くねんなーというのが容易に想像できた。かなり感動。で、そばにハイウェイの入り口があったので、そのまま乗って帰る。みどころ沢山のサンフランシスコ。今度はウルトラでマラソンクイズやった場所が知りたい。

 2日(水)。この日は午前中で仕事が終わり。そして、我らがガレオンが別件でUSに来るというので、ホテルで待ち合わせ。ガレオンはSF空港からレンタカーでやって来た。しかも車種はリンカーンである。本人曰く、「これなら事故しても死にはせん」だそうだ。これからは観光三昧である。まず、到着前にメールをもらったのが、「リノへ行ってカジノ」である。が、リノはネバダ州にあり、カリフォルニアの、それも西海岸近くのサンノゼからではあまりにも遠い。が、会うなり彼は「大丈夫、大丈夫。これぐらいだから」と言って、親指と人差し指で10cmぐらいの間隔を作る。何が「これぐらい」なのか、サッパリわからないが、それが彼の魅力でもある。ちなみに、社内では、ガレオンの「大丈夫」は危険信号であることは、彼を知っている者ならみんなが知っている周知の事実であることを彼だけ知らない。さんぎょー臭漂う男である。さんぎょーと違うところは、金を持っているかいないかの違いだけであると私は思う。で、部屋に戻って調べると、400マイルぐらいある。相当な距離である。片道4時間は覚悟しなければならない。これが彼の言う「これぐらい」のようであるが、容赦なく却下。次の提案は、「ワインの試飲」だった。彼は酒好きなのだ。ワインは、ブドウの生産地であるNapa Valleyというところまで行かなくてはいけない。100マイルぐらいである。が、すごいおいしいらしいので、まあ薦められた通り行くことにする。ガレオン到着で車は3台あったが、1台は先輩が仕事で使用、もう1台は再三のサンフランシスコ観光組が使用するとのこと。で、私はリンカーンに乗車。運転手はガレオン(当然、彼はこの日の朝にサンノゼ到着なので時差ボケである)。

 Napaに行く前に、ガレオンに「スタンフォード大学に行きたい」と提案。するとあっさりOK。いや、OK出るまで1週間かかったわ。長い。でも、念願のスタンフォード大学である。サンノゼから、まずはPalo Altoへ。方向的にはNapaの方なので、遠回りというほどではないようである。カーナビに従って20分弱で到着。…凄い!そのスケールに圧倒される。まずキャンパスの敷地が半端じゃない。構内を何台ものシャトルバスが走っていたが、そのぐらい必要になるほどの大きさである。最初に我々が入ったのはグラウンドだったのだが、アメフト専用、野球専用、サッカー専用、その他諸々。土地の使い方が日本では考えられない。駐車場も当然のようにデカい。アメフトのところには、サンフランシスコ49'ersのTシャツとか売っていたが、買う人がいるのだろうか。地元やし、おるから売ってるんやろな。しばらくグルーっと回って、メインキャンパス(と思しき場所)に車を停める。無料ではないらしいが、"2 Minute $5"との表記。2分単位で金取るんか、ケチやなー。でも、よう考えると2分で約6円である。1時間に直すと180円。安いな。で、売店に行く。無論、スタンフォードグッズを買うためである。小ぢんまりした売店だったが(昔の、草津キャンパスのユニオンスクエアのコンビニぐらい。って例え悪くてすまん)、グッズは充実。目移りしてしまうが、無難にTシャツとキーホルダー。マグカップとか、ワレモノは断念。レジの兄ちゃんが金勘定を間違え、$2ほど得をしたのだが、悪いと思って返そうと思いつつも、そんな会話ができない自分に幻滅。想い出としてもらっておきました。再び車で構内を散策。すると、ゴルフの打ちっぱなしがあるではないか。ゆうに200ヤードはある。打つ場所も100箇所ぐらいはある。街の打ちっぱなしよりよっぽどスケールがデカい。これだけでも満足のガレオン(彼は無類のゴルフ好き。レッスンプロの資格を持っているらしいが、自称なので怪しい)だったが、道路を挟んで反対側に行くと、なんとコースがある。きっちり18ホール。大はしゃぎのガレオン。「俺、この街に住んだら仕事できなくなるわー」というガレオンのセリフは本心であろう。

 再びハイウェイに乗り、Napaを目指す。途中、ベイブリッジを渡るが、往路は下段を通るため、周りの景色が全く見えない。つまらない。しかも、例によって片道だけの料金制。USでは流行ってんの?湾を渡っても、しばらくは単調なハイウェイなのだが、途中、1ヶ所競馬場のような場所を発見。「おい、クールてつおー(実際はこうは呼ばれていない、念のため)、競馬場があるぞ」(彼は無類の競馬好き。うちの部署では競馬の知識は我々2人で1,2位を争うことは間違いない)「草競馬ちゃいます?」「いや、電光掲示板もあったし、スタンドもデカかった。かなり本格的だぞ。福島競馬場ぐらいある」その微妙な例えがまたさんぎょーチックで笑ってしまう。だが、この会話、ここでは終わらない。なんと、内馬場にゴルフコースがあるではないか。イギリスでは、フツーの道路とか町並みの中にゴルフコースがあるというのは全英の放送の時に羽川豊が言っていたので記憶しているが、USにも、しかも競馬場内にあるとは驚きである。「いや、ガレオンさんの2大趣味を一気に満たしてくれるような場所ですねー」と言うと、ガレオン「俺、この街に住んだら仕事できなくなるわー」。…さっきも聞いた。

 競馬場からおよそ30分。Napaに到着。ただ、ワインの産地はNapa Valleyであって、丘の上に上らなければいけないようだ。だが、ガイドも何も持ってきておらず、カーナビだけを頼りにしてきた我々には、その試飲できる場所がよくわからん。ガレオン「俺が前来た時は、町に入るとブドウの強烈な匂いがして、香りだけでも楽しめた。で、路上で試飲とかもやっていた」というのだが、10月の丘陵地である。きっと収穫は終わっているのだが、悲しませるといけないので、黙っておこう。だが、行けども試飲場所は見つからず、町の酒屋でワインを買う。こんなことなら、空港で買っても一緒である(事実、サンノゼ空港の免税店ではNapaのワインは売っていた)。うーん、残念。だが、本場でワインを買うてきた、というその行為は大事である。私は酒は飲めないので、試飲してたら間違いなく帰りは運転手になっていたと思うが、幸いにも運転手はガレオンのままであった。

 復路。サンフランシスコに向かうハイウェイは大渋滞。だが、USのハイウェイには、一番左車線に"Car Pool"という名の優遇車線がある。これは、3人以上乗っている(ツーシーターなら2人)車に限って、その道を通っていいです、という道である。我々はちょうど3人いた。いや、大変ありがたい。また、カープールの標識には、「もし違反すると最大$271の罰金を科します」とある。この数字の根拠がまるでわからんが、2人乗りの車がカープール走っただけで3万円近い罰金というのはすごい。USはスピード違反に対しては寛容だと聞いているが、このルールはすごいねぇ。日本も見習わないかな?いや、道路公団が反対するやろな。で、渋滞を横目に比較的早めにサンフランシスコに到着。ここでシスコ観光組、仕事組とと合流することに。ユニオンスクエアで待ち合わせ。だが、みんなして携帯のバッテリー切れなのか、電話をかけても1人しか通じない(ちなみにその人は、日本食食べたがっていた既出の先輩である)。多分、持ち歩いていないのだろう。携帯は、会社から支給されたNokiaのものなのだが、これがビックリするぐらい重い。日本で言う4世代ぐらい前の携帯である。無論、着信音に「和音」という概念は存在しない。こっちの人間に聞くと、携帯はあまり使わない(メールが主流)のと、日本のようにいろいろな機能を必要としないところが主たる原因であると教えてくれた。また、着信音という概念もつい最近、やっと携帯の機能として盛り込まれたことも教えてくれた。まあ日本の携帯の機能はとどまることを知らないからなぁ。USでカメラ付き携帯が出るのは、おそらく3年後ぐらいやろな。

 ユニオンスクエアへ行く。すると、1人だけポツーンといる先輩を発見。聞くと、観光組のあと2人は、車でHaight Streetに行ったらしいが、2人とも携帯が繋がらず、ずっとここにいるとのこと。10月と言えどもシスコは寒く、暗くなってくると治安的にも怪しいところである。我々を見かけた時の笑顔といったら…。人間、小さなことで幸せになれるもんやねー。と感心ばかりしていられない。Haight組と連絡が取れない。まあ彼らが乗っている車はナビ付きやし、子供やないねんから、と言う理由でほったらかしにすることに。まあUS最後の夜や。時間が勿体無いのは事実である。仕事組と無事合流し、レストランで食事。ミートローフを頼んだのだが、やはり出てきたものは量が充実している。結局、先輩に手伝ってもらって完食(完食って言わへんな、この場合)。ミートローフなのに妙にコッテリしていたのが本場の味付けなのだろう。帰りがけにコンビニに立ち寄り、荷物が増えたためカバンを1個購入。$9.99だったが、かなり頑丈にできており、量的にもかなり入るため、今でも重宝している。ひょっとしたらUSで一番いい買い物だったかもしれない。

 宿に帰って荷物整理。かなり荷物が増えたが、カバンのおかげで無事詰め込むことができた。ワインはバレないように服にくるんで内側に。PCは機内持込手荷物に含めるからそう神経質にならなくても良さそう。おみやげのTシャツは4枚。…のハズが、スタンフォードグッズはリンカーンに忘れてきてしまったようだ。ガレオンは宿が違うので、次の日の朝に取りにいかなくてはいけなくなった。確か朝8時アポだと言っていたので、6時半に取りにいけば間違いないやろ。ちなみに、朝8時アポなのは、早めに仕事を終えてゴルフをやりたいと願うガレオンの、自分勝手なタイムスケジュールであることは言うまでもない。

 3日(木)。仕事もないのに朝6時起床。ホテルからガレオンのホテルまで30分ぐらいを見越して早めに出発。が、朝で全く道路も混まず(ハイウェイは多少混んでいた。そういえば、ハイウェイの入り口には信号があり、1台づつ入れる仕組みになっていた。かなりいいシステムだが、フリーウェイでしかできなさそう)、予定より早く到着。ガレオンを叩き起こす。車を開けてもらい、グッズを入手してガレオンに別れを告げる。次に会うのは2週間後ぐらい。7時前に朝飯調達のためスーパーへ(この日は朝飯が出ない)。大型スーパーだと言うのに、6時半からやっているようである。客より店員が多かったり、焼きたてのパンが売りのコーナーに前の日のパンが特価で売られていたりと、やはりツッこみどころ満載。朝からテンション高くなってしまう。食事を購入して宿に戻る。7時半宿到着。チェックアウトは9時の予定やから、だいぶ時間がある。荷物は一通りまとめたし、朝のCNNでも見るか、と、なんか日本の台風一過の情報が。そういえば、戦後最大級の台風が日本を襲ったらしいねぇ。まったく他人事。

 チェックアウト。部屋代が$99.9だったが、2人部屋なので1人1泊$49.95。安い。まあ所詮会社の金だが。現金はあと$3ぐらいしかないのでカードで。VISAってほんとにワールドワイドで使えるのね。定食屋でも大活躍。ホテルでも大活躍。ルームサービスは一切使っていないので、後はPCを接続した通信費だけ。充分、限度額内。ていうか限度額超えとったらアカンやろ。ここからは例によって2台に分乗。で、運転手。ホテルから空港まではさほど距離もないし、1週間もいると慣れたもんである。同乗した2人は最後まで運転代わってくれなかった…。下っ端ってツラい(後で聞くと、同期のヤツもやらされていたらしい)。空港でレンタカーを返却してチェックイン。搭乗まで2時間あるので、免税店などで時間潰し。先輩方はマクドで遅い朝飯だったが、私はすでに朝飯は済んでいるのでスタバでコーヒー。USには「ショート」はないようなので、「トール」で。残っていたドル紙幣をすべて使用。実に効率の良い使い方である。が、会社のおみやげを忘れており、結局カードで買い物するハメに。

 予定より15分ぐらい遅れて搭乗。5人掛けの真中に席が当たってしもうた。最近、しっこが近いのよねー。隣も、その隣も会社の人やし、1,2回はカンベンしてもらおか。帰りは実に11時間。唯一もってきた宮部みゆきは読み終わるし、往きに買ったクロスワードはカバンに入れっぱなしやし、しょうがないからまたNHK。途中映画を何本か見たが、まあそこそこ。仮眠も取ったが、エコノミーでは寝た気がしない。尻は痛くなるし、散々やった。

 予定より1時間も早く成田到着。やれ珍しい。が、バゲッジのベルトコンベアが故障したらしく、空港の職員が総出で手で荷物を運んでいた。おかげで早く着いた分はチャラ。成田エクスプレスの兼合いでさらに思っていたよりも帰宅が遅れる。横浜到着は6時ぐらい。往きよりヒドい時差ボケである。が、この次の日には、大事な「野球狂のネタ」が待っている。ムリから寝て、次の日に備えることにした。

 こうして、生涯初の海外渡航は終了した。終わってしまえば大したことではないのだが、やはり言葉の壁だけはどうしようもない。商社に勤めていながら、これだけ英語が喋れないヤツも珍しいだろう。今後は、エンジニアとしての勉強と共に、英語の勉強もやらなければいけないようだ。今以上にNHK教育を見ることになりそうだ。が、「とっさのひとこと」を必死に覚えたのに、そんな場面に一切出くわさなかったのは、NHKの、ひとことの選択ミスであることを小一時間問い詰めたい。ていうか海外旅行まで行って「ガッテン、ガッテン」やっているのを見るとはね。次回の海外渡航は、仕事抜きで。24年生きて、海外経験は仕事でしか無い、というネタがいつまで続くか乞うご期待。プライベートで行くなら、近場でカジノ。やっぱマカオかね、さんぎょー。


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